実践リスクマネジメント要覧 理論と事例
企業を取り巻く様々なリスクおよび対応策について、MS&ADインターリスク総研が総力をあげてまとめた一冊です。業種・業界を問わず、企業・組織のリスクマネジメント推進において参考となる一冊です。
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苦情対応に関する国際規格、ISO10002/JISQ 10002:2005「品質マネジメント-顧客満足-組織における苦情対応のための指針」では、「苦情」は以下の定義とされている。
「3.2 苦情(complaint):製品又は苦情対応プロセスに関して、組織に対する不満足の表現で、その対応又は解決が、明示的又は暗示的に期待されているもの。」 実際には、企業各社は自社の事業内容に則して苦情を定義し、取組みを実施しているが、ここではそのような苦情に端を発するリスクを苦情対応リスクとして、以降で詳しく解説することとする。
一般的に苦情対応リスクは、予想される発生頻度は高いが、損害の程度が小さいため、リスクとして軽視されがちである。しかし、苦情への対応や判断を誤ることにより、それが広く世間の知るところとなり、企業の信用失墜やブランドイメージの低下につながることもある。これは風評リスクと呼ばれ、目に見える直接的な損害ではないが、例えば売上げの減少等、様々な側面から企業経営に大きな影響やダメージを与えかねないものでもある。また一方で、苦情には自社の製品・サービスに対する改善や品質向上に資する有用な経営資源としての側面もあるため、適切な苦情対応体制の確立は企業経営にとって重要な取組みである。
これら当該リスクの性質に鑑み、企業の苦情対応に関する取組方針・取組内容・資源投入等について、経営トップがしかるべき意思決定を行うことが肝要である。