リスクマネジメント用語集

気候変動

わが国では、『地球温暖化』("Global Warming")という用語が、従来から頻繁に使われてきた。しかし、パリ会議も含めこれまでに開催された「気候変動枠組条約締約国会議」では、『地球温暖化』ではなく『気候変動』("Climate Change")という用語が会議名に使われている。わが国では、地球温暖化による平均気温の上昇のみがクローズアップされる傾向にあるが、気候変動とはそれだけではなく、降水パターンの変化や海水面の上昇、また一時的な寒波の襲来等の様々な気候の変動が含まれる。さらにこれらの国際会議では、『気候変動の緩和と適応』という用語が常用されているが、わが国では、地球温暖化防止という側面のみで捉えていたため、必ずしもその理解が十分ではなかったかもしれない。

図表1に示すように、気候変動に伴う様々な影響を防ぐために、わが国をはじめ各国で進めている対策は、大きく「緩和策」と「適応策」に分けられる。緩和策は、省エネルギーや再生可能エネルギー導入等による温室効果ガスの排出削減や、森林等の吸収源の増加等で気候に対する人為的影響を抑制する対策を意味する。一方、適応策は、気候変動がもたらす水資源、食料、生物多様性等への様々な影響に対して人や社会、経済のシステムを再構築することで影響を軽減しようという対策を意味する。なお、図表1の【緩和策】の中に「CO2の回収・貯留」とあるが、これはCCS(Carbon dioxide Capture and Storage)といわれている最先端の技術のことで、その概念図は図表2のとおりである。CCSは、工場や発電所などから発生するCO2を大気放散する前に回収し、地中貯留に適した地層まで運び、長期間にわたり安定的に貯留する技術で、後述の最新のIPCC第5次評価報告書でも、気候変動の緩和策の重要な対策の1つに位置付けられている。

【図表1】気候変動と緩和策・適応策の関係
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(出典)気候変動の観測・予測及び影響評価統合レポート『日本の気候変動とその影響』(2012年度版)2013年3月、文部科学省・気象庁・環境省
【図表2】CO2の回収・貯留(CCS)の概念図
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