リスクマネジメント用語集

労働安全衛生

労働災害の防止対策を推進することにより、職場における労働者の安全と健康を確保し、快適な職場環境の形成を促進するために定められた労働安全衛生法は、危険防止基準や安全衛生管理体制の確立など労災防止のための種々のことを定めている。その条文の大部分が、「事業者は、……しなければならない」と事業者責任(企業責任)を明記しており、違反した場合は罰則が適用される。

この事業者とは、「法人企業であれば当該法人、個人企業であれば事業経営主を指している。これは、従来の労働基準法上の義務主体であった使用者と異なり、事業経営の利益の帰属主体そのものを義務主体として捉え、その安全衛生上の責任を明確にしたものである。」(昭47・9・18基発第91号)と労働省労働基準局長通達で示している。

そして、労働安全衛生法違反があった場合には、まず実行行為者が処罰の対象となる。すなわち、事業者のために行為するそれぞれの職責にある者(工場長、所長、部長、課長等)が職務の内容、職責の程度に応じて対象となる。なお、労働安全衛生法では多くの規定が事業者の義務となっているが、その違反について、上記実行行為者についてまず捜査が行われ、当該行為者に違反がある場合には、事業者に対しても罰則が適用される(両罰規定)。

また、建設工事現場では仕事の一部を下請負人に請け負わせるケースがあるが、この場合、元請負人が下請負人の労働者の労働災害に対し負う責務について、労働安全衛生法30条・30条の2に規定されており、元請けの労働者の安全配慮だけでは不十分なので注意が必要である。なお、下請負人自身も自己の労働者に対して労働契約上の安全配慮義務を負っており、元請負人がすべての責任を負うわけではないので、下請負人も注意しなければならない。

このことは、近年急増している製造業の事業所内請負業務における、元方事業者と関係請負人およびその労働者との関係にもいえることである。

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