レポート

2022年度 No.3「サイバー空間における安心・安全なコミュニケーションとは」

2023.4.1

要旨

  • メールやSMS(ショートメッセージサービス)を起因とした事件・トラブルは増加傾向にある。
  • 本稿では、メールやSMSを起因とした事件・トラブルが増加している背景・要因と、サイバー空間における安心・安全なコミュニケーションのポイントについて解説する。

1. メールやSMS起因の事件・トラブルは増加傾向に

メールやSMS(ショートメッセージサービス)を起因とした事件・トラブルは増加傾向にある。独立行政法人日本情報処理推進機構(IPA)「情報セキュリティ10大脅威2023」では、個人編においては6つ、組織編においては4つがメールやSMSを攻撃手口・起因とするものがランクインした。また、警察庁の調査「令和4年におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について」によると、インターネットバンキングに係る不正送金事件については、2020年以降、発生件数、被害額ともに減少傾向が続いていたが、昨年下半期に急増し、その被害の多くがフィッシングによるものとみられている。

コロナ禍を乗り越え、多様な働き方や効率的な業務フローが浸透しつつある現代において、メール(以下、SMSを含む)はビジネスや個人間のコミュニケーションに不可欠なツールである。メールには、機密情報、金融情報、個人情報、業務上の秘密など、多くの重要な情報を含んでいることがあり、メールに対する不正アクセスや情報漏えいは、業務上の損失や個人情報の漏洩など、深刻な経済的、社会的影響をもたらすことがある。また、メールはフィッシング、スパムメール発信、マルウェア感染などのサイバー攻撃の手段としても利用されることがあり、これらの攻撃によって、個人や企業の機密情報や資産が危険にさらされることがあるのは「情報セキュリティ10大脅威2023」で示されているとおりである。

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