レポート

2021年度 No.3「昨今のランサムウェアについて」

2022.3.1

要旨

  • 昨今の国際情勢等から、サイバー攻撃を受けるリスクは一層高まっている。
  • ランサムウェア攻撃が拡大、猛威を振るっており、その影響は実害を受けていないサプライチェーン上の広範囲までおよび、甚大となるおそれがある。
  • 企業グループ、そしてサプライチェーンも含めて、サイバー攻撃を完全に防ぐことはできないという認識のもと、防御を中心とした対策(事前対策)だけでなく、攻撃を受けた際の対策(事後対策)を進めることが必要である。

1.昨今の情勢をうけたサイバー攻撃の激化

2022年2月24日、ロシアがウクライナへの侵攻を開始した。この侵攻においては、現実空間における当事者両国間の争いのみならず、サイバー空間において数多くの関係者を巻き込んだ争いが繰り広げられていることは着目すべき点といえる。

既に米欧日各国により、ロシア金融機関への国際決済網からの排除や資産凍結、同国への輸出禁止など各種の経済制裁が実施され、また、企業単位でも同国における事業活動の停止の発表が相次いでいる。

そうした中、ロシア語圏に活動拠点を置くといわれる、あるランサムウェア犯罪グループは「ロシアやロシア語圏の重要なインフラ、平和な市民の生活と安全が脅かされる場合、全力で報復する」との声明を発表した。独自の経済制裁的な 行動をした企業・組織だけでなく、経済制裁を実施している国に属する企業に対しても「報復や見せしめ」としてサイバー攻撃のターゲットとなる可能性が高まっている。

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