2022年度 No.1「人的資本の潮流 」
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2022.9.1
要旨
- 2022年6月、内閣官房から人的資本についての取組方針が示され、これに基づき8月に【人的資本可視化指針】が発表された。
- こういった動きの背景には、企業価値の中核が有形資産から無形資産に移り、とりわけ「人的資本が企業価値の源泉である」という認識が広がっていることが挙げられる。
- 人的資本の価値を最大限に引き出すことで企業価値の向上を図るという《人的資本経営》への変革については、2020年公表の【人材版伊藤レポート】でその方向性が詳しく述べられている。
- また【人材版伊藤レポート】では、人材戦略の変革に当たって経営陣、取締役会、投資家が果たすべき役割が示されるとともに、これからのあるべき人材戦略を特徴づけるものとして3つの視点と5つの共通要素(3P・5Fモデル)が提唱されている。
1. 人的資本が重視される背景
(1) 2022年は人的資本経営の元年
ここ最近、《人的資本》というキーワードが頻繁にマスメディアに登場するようになっている。
人的資本経営の普及促進という点で、社会に大きなインパクトを与えた【人材版伊藤レポート】が公表されたのは2020年9月。その後2021年6月のコーポレートガバナンスコード改訂において、人的資本への投資に関する事項が明記されたところだが、本年6月には「骨太方針2022」と合わせて「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画」が閣議決定され、企業には《人的資本経営への変革》と《人的資本の情報開示》が求められることになった。
このように、これまで重要と認識されつつも開示されてこなかった人的資本の可視化・開示へ向けた議論がここにきて一気に加速しており、この先も人的資本経営の実践とその開示はさらにメガトレンド化していくことが確実な状況にある。
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