「自然関連課題である水リスクに対して企業はどう対応していくべきか」 サステナブル経営 レポート<第22号>
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2024.4.5
本号の概要
- 本稿では企業が水リスクマネジメントに取り組むにあたり、背景となるグローバルな水課題、それに伴う企業の水リスク、水リスクマネジメントに関する制度を体系的に説明している。
- 企業が水リスクに取り組む背景を理解するために、グローバルな水課題として「水利用可能性の低下」、「気候変動による水循環の変化」、「WASH(安全な水、衛生設備、衛生習慣)へのアクセス」、「淡水生態系の劣化」の4 つを取り上げ概説している。
- 主な企業の水リスクとして水量リスク、水質リスク、規制・評判リスクの内容を、発生事例を踏まえて概説するとともに、マネジメントの観点や企業の取組み事例を解説している。
- 企業の水リスクマネジメントに関する制度では、「認証制度」、「目標設定」、「開示」といった、特に企業に関係性が深い関連イニシアチブを紹介している。具体的には、Alliance for Water Stewardship(AWS)認証やSience Based Targets for Nature(ネイチャーSBTs:自然に関する科学に基づく目標)、自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)などの重要な制度について解説している。
- 最後に国際会議での最新動向として、筆者が参加したWorld Water Week 2023(ストックホルム)の主要テーマであったNature based Solutions(NbS:自然を基盤とした解決策)の普及促進およびコレクティブ・アクション推進のポイントとその課題について紹介している。
1. はじめに
2023年3月、46年ぶりとなる「国連水会議」が開催された。この目的として、世界的な水課題への認識を高めること、国際的に合意されたSDGs目標6「安全な水とトイレを世界中に」の達成に向けた国際的な協調行動を決定することにある。会議成果である「水行動アジェンダ」にはグローバルな水課題への対処や、すべての人々の公平な水アクセスを推進するため、700を超えるコミットメントが盛り込まれ加盟国、企業、NGOから数十億ドルの拠出が約束された。
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