レポート

<号外>「台風18号による大雨などに係る被害と防災情報の概要について」

2015.9.1

はじめに

2015年9月9日に愛知県知多半島に上陸した台風18号は、低気圧に変わった以降も日本海に停滞し、西日本から北日本にかけての広い範囲で大雨を誘発した。特に、関東・東北地方においては複数の河川で越流・破堤による氾濫が相次いで発生し、多くの地域で浸水被害を受けた。被害に遭われた皆様に、心からお見舞いを申し上げる次第である。

本稿では、今回の大雨の特徴や被害の概要を取りまとめ、大雨時に避難判断の参考となる主な防災情報について解説する。

1. 気象概要

(1) 気象の概況

9月7日3時に日本の南海上で発生した台風18号は9日10時過ぎに愛知県知多半島に上陸した後、日本海に進み、同日21時に温帯低気圧に変わった。北海道の北東側で張り出していた高気圧の停滞による影響で台風から変わった低気圧は日本海をゆっくりと北上したため、この低気圧に向かって日本の南方向から暖かく湿った空気が流れ込み続けた。また、日本の南東沖には台風17号が位置しており、日本の東側からも湿った空気が流れ込んでいた(図1)。

このため2つの湿った空気が衝突し合う関東地方で「線状降水帯」と呼ばれる南北に連なる積乱雲の列が発生した。特に、9日から10日未明にかけて栃木県付近に留まっていた線状降水帯の強雨域は11日にかけてゆっくりと北上し、福島県や宮城県にも大雨をもたらした(図2)。

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