レポート/資料

ESGリスクトピックス 2012年度 No.9

2012.12.1

国内トピックス2012年10・11月に公開された国内のCSR等に関する主な動向をご紹介、コメントします。

<CSR>
住友化学、タンザニアでのマラリア防圧に取り組み「読売国際協力賞」を受賞

(関連情報:2012年10月23日 同社ホームページ)

住友化学は、ポリエチレン製の糸に防虫剤を練り込んだ防虫効果のある特殊な蚊帳「オリセットネット」を開発し、タンザニア等のアフリカ地域でのマラリア防圧に貢献してきたことを受け、企業として初めて読売国際協力賞(*)を受賞した。住友化学は本取組において、タンザニアの蚊帳メーカーAtoZ社に当該製品の技術を無償で供与したほか、同社との合弁会社の設立により現地で約7,000人の雇用を創出し、経済面でも貢献したことが評価された。また、同製品の売上の一部を活用し、タンザニアやケニアをはじめとするアフリカ諸国に学校を建設し、教育支援にも繋げていることも評価され、今回の受賞となった。

読売国際協力賞…1994年に読売新聞創刊120周年を記念して創設された、国際協力の分野で活躍し国際社会への貢献と協力の重要性を示した個人・団体・企業に贈られる賞

<コンプライアンス>
公取委が今年度上半期の下請法の違反状況を発表

(関連情報:2012年10月24日 公正取引委員会ホームページ)

公正取引委員会は、10月24日、平成24年度上半期(4月~9月)に下請法違反で指導した件数が2932件、勧告件数が10件であったことを発表した。指導・勧告件数の総数は、半期の数としては、過去最高となった。

勧告を受けた10件のうち、8件が卸・小売業者によるプライベートブランド商品等の製造委託等に係るものであった。また、10件すべてで下請代金の減額が行われていた。

Point!

多くの企業においては、下請法遵守のための各種取組を実施しているところですが、中小規模の事業者や、実際に下請事業者との取引を行っている現業部門の担当者まで十分な理解が進んでいないなどの理由から下請法違反事例が後を絶たないのが現状です。このような状況もあり、当局も下請法違反に対して厳格な姿勢で臨んでいることにより、指導・勧告件数が増加していると推察されます。

<コンプライアンス>
警視庁が「企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針」に関するアンケート結果を発表

(参考情報:2012年11月14日 警視庁ホームページ)

警視庁は、平成24年11月14日、「企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針」に関するアンケートの調査結果を発表した。本調査は、平成19年の指針策定後、平成20年より、2年毎に実施されており、今回で3度目の実施(対象1万社・回収率28.9%)。

本調査の中で、過去5年間で実際に不当要求を受けたことのある企業は11.7%、337社であり、そのうち、何らかの形で不当要求に応じた企業は18.4%、62社であった。

また、不当要求に対する対応に関しては、「代表取締役等のトップ以下、組織として対応した」が47.5%、「警察等の外部専門機関と連携して対応した」が44.2%であった。

「企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針」
犯罪対策閣僚会議の下に設置された暴力団資金源等総合対策ワーキングチームにおける検討を経て制定された、企業が反社会的勢力による被害を防止するための基本的な理念や具体的な対応を示す指針。

<従業員満足>
アサヒビール株式会社ほか9社が「キャリア支援企業表彰 2012~人を育て・人が育つ企業表彰~」
厚生労働大臣表彰を受賞する

(関連情報:2012年11月6日 同省ホームページ)

厚生労働省は、11月6日、従業員の主体的なキャリア形成を積極的に支援している企業10社を、「キャリア支援企業表彰2012~人を育て・人が育つ企業表彰~」(*)の厚生労働大臣表彰に決定し、同省のホームページ上に公表した。

今年度は、全国85の企業などから応募がある中、アサヒビール株式会社をはじめとする10社が高評価を獲得した。

具体的に、アサヒビール株式会社の主な取組は、以下の通りである。

  • 「人事基本方針」を定め、従業員が活き活きと働き、能力を伸ばしていける環境づくりに努めるとし、キャリア支援の考え方として、「自分のキャリアは自分で決める」「仕事を通して自己実現」「雇われる能力(エンプロイアビリティ)を高める」点を強調
  • 上司面談として、目標設定面談、期中・期末面談に加え、キャリアデザイン面談(長期的なキャリア形成支援のため「キャリアデザインシート」をもとに面談)を実施

海外トピックス2012年10・11月に公開された海外のCSR等に関する主な動向をご紹介、コメントします。

米ホールフーズが、児童労働排除の根拠を明示しないハーシー社商品の販売を停止

(関連情報:2012年10月3日 グリーンアメリカプレスリリース 他)

米国の食料品小売大手ホールフーズ・マーケットは、同国チョコレート製造最大手ザ・ハーシー・カンパニーの高級ブランド「Scharffen Berger」を店頭から撤去することを決めた。ホールフーズが、米消費者団体グリーンアメリカ等に宛てた書簡で10月3日、明らかになったもの。原料のカカオの生産過程で児童労働が行われてないことを証明する情報をハーシー社が開示しないことが理由という。

ホールフーズは書簡の中で「当社は児童労働や奴隷的労働に重大な懸念を持っており、ハーシー社と現状の情報開示について協議を続けている。同社からさらなる情報を受け取るまで、同商品の販売を停止する」と言及。ハーシー社に原料カカオの生産現場の現状を開示し、児童の強制労働がないことを証明するよう求めた。

ハーシー社に対しては、米消費者団体グリーンアメリカや人権団体等が過去2年近くにわたって、商品のカカオ原料を児童労働の関与がないことを証明するようキャンペーンを展開。

ユニリーバが手洗い習慣啓発プロジェクトをアフリカに拡大

(関連情報:2012年10月15日 同社プレスリリース)

日用品世界大手の英蘭ユニリーバは10月15日、貧困国の幼児死亡率低減を目的に、手洗いを習慣づけることで衛生状態の改善を図るプロジェクトを、これまでのインドを始めとする南アジアからアフリカにも拡大すると発表した。

同社は、2020年までに10億人の健康と生活環境の改善の実現を目標とした「サステナブル・リビング・プラン」と名付けたプロジェクトを2010年から南アジアを中心に展開。その中で、同地域を始めとする貧困地域で幼児死亡率を高める主な原因の下痢の予防策として、石鹸を使った手洗い習慣の啓発に力を入れている。幼児・児童を対象に食事の前やトイレの後等の手洗いの大切さを直接教育する一方で、地域の成人女性に職業訓練を施し同社石鹸製品の地域内の販売員に養成することで同社製品を貧困地域に供給可能にした。

同社は、過去2年間の取組で5000万人に手洗い習慣を定着させたとした上で、同じく幼児死亡率が高いサハラ砂漠以南の10カ国にも同プログラムを拡大する方針。

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