
ロールボックスパレット(かご台車)による労働災害防止対策【労災リスク・インフォメーション 第10号】
2013.7.1
1. はじめに
かご台車は、正式にはロールボックスパレットと呼ばれる物流器具の一種である(図1参照)。
荷物の移動省力化や破損防止のために非常に有効であり、多くの物流業者が輸送、保管、荷役といった物流の各過程において活用している。近年は小売店などでも目にすることが多い。
経験のない従業員でもすぐに自由に操作できるうえ、様々な場面で活用できるなど汎用性が高い。更に構造も単純で、現場での修理も可能であり、比較的劣化に強い。お客さまの営業拠点で、20年以上活用され続けてきたロールボックスパレットを見ることも珍しくない。多くの企業にとって欠かすことができない物流器具の一つといえる。
その一方で、このロールボックスパレットの取扱いを誤ることによる労働災害が頻発していることが問題になっている。独立行政法人労働安全衛生総合研究所の調査によれば、ある全国的に展開している運送業者の平成21年における労災事故データ1,545件を分析したところ、約3分の1弱にあたる452件がロールボックスパレット及びロールボックスに冷却機能を付加したコールドボックスパレットによる災害であることがわかった。
このような研究の進展に伴い、2013年4月に開始された国の第12次労働災害防止計画にも「ロールボックスパレット(かご台車)等の荷役運搬のための器具、用具による災害も少なからず発生している」とする記述がみられる。
そこで、あらためて調査したところ、様々な事故が発生しており、企業としては無視できないリスクであることが判明した。そこで、今回は、具体的な事故事例を紹介したうえで、事故の防止及び発生した場合の被害抑制に向けた取組みを紹介する。
2. ロールボックスパレットによる事故の類型
調査の結果、ロールボックスパレットにより発生している事故には大きく分けると以下の3つの類型があることがわかった。
レポートを全て見る