レポート/資料

第9号 「小売業における労働災害防止対策」

2013.6.1

1. はじめに

建設業や製造業では過去10年で大幅に労働災害が減少している一方、その間、第三次産業においては増加している。厚生労働省から「第12次労働災害防止計画」(以下、12次防)が示されたところであるが、第三次産業が重点業種の一つに指定された。

本稿では12次防を踏まえたうえで、第三次産業の中で最も労働災害発生件数の多い"小売業"における労働災害防止対策を示していく。

2. 労働災害防止計画

「労働災害防止計画」とは、厚生労働大臣が労働政策審議会の意見を聞いて策定するもので、労働災害を減少させるために国が重点的に取り組む事項を定めた中期計画のことを指す。12次防は平成25年度から平成29年度までの5ヶ年を計画期間として定められたものである。

平成23年においても、依然として死亡者数は1千人以上、休業4日以上の死傷者数は11万人以上も発生しており、12次防では以下の全体目標が掲げられた。

計画の全体目標
  • 平成29年までに、労働災害による死亡者数を15%以上減少(平成24年比)
  • 平成29年までに、労働災害による死傷者数(休業4日以上)を15%以上減少(平成24年比)

上記目標を達成するために、12次防では6つの重点施策が示された。そのうちの一つである"労働災害、業務上疾病発生状況の変化に合わせた対策の重点化"において、建設業、製造業、第三次産業および陸上貨物運送事業を重点的に取り組む業種としているが、その理由は以下のように考える。

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