
ESG関連リスクのERM(全社的リスクマネジメント)への統合 ~サステナビリティー(持続可能性)を経営の中核課題とするためのヒント~【サステナブル経営レポート 第4号】
2018.10.1
本号の概要
- TCFDの気候関連財務情報開示の提言を始めとして、サステナビリティー関連課題の中長期的な財務的影響を情報開示する要請が高まっています。しかし、多くの企業ではこうした対応がいまだCSR部門やIR部門での議論にとどまっており、コーポレートガバナンスの仕組みに組み込まれていません。
- 本レポートではWBCSD(持続可能な開発のための世界経済人会議)とCOSO(トレッドウェイ委員会支援組織委員会)が協働で開発したESG関連リスクをERMプロセスに統合するためのガイダンス案を参考に、この状況を打開するヒントを探りたいと思います。
1.サステナビリティーは経営の中核課題になってはいなかった
2015年に国連において、2030年アジェンダおよびSDGsとパリ協定が採択されたことにより、ビジネスリーダーが、持続可能な開発のためのグローバル目標が示す社会課題を、自社の中核的な成長戦略、バリューチェーン運営に組み込む必要性が認識されつつあります。1ビジネスのためのゲームのルールが変わったという言い方もされています。なぜなら、サステナビリティーへの配慮は、従来、ほとんどの企業において経営の中核課題とされず、取締役会の議題となることはまれであったからです。
1992年の国連地球サミットを契機にISO(国際標準化機構)に要請された環境マネジメントの規格化が、ISO14000シリーズとして1996年から発行されはじめ、企業が、地球環境への依存と影響という外部経済性を内部化しようとする取り組みが進みました。
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