レポート/資料

自然災害時の避難に関する実態と意識について ~アンケート調査結果より~ リサーチ・レター2022年第1号

2023.2.1

要旨

  • 自治体から警戒レベル4の避難情報(当時の避難勧告・避難指示)が発令された自然災害の発生時に、自宅にいたとした回答者のうち、自宅外に避難をしたのは16.9%であった。この値(自宅外避難率)を自然災害種類別にみると、地震の場合36.3%、風水害の場合5.7%と、6倍を超える開きが見られた。
  • 自宅以外の場所に避難したきっかけ、要因は「自己判断」が約5割で最も多く、「周囲からの呼びかけ」(28.4%)、「行政からの避難情報」(20.6%)がそれに続く。
  • 自宅外に避難しなかった理由については、「自宅は安全だと思った」とする回答が過半数で最も多い。また、4人に1人が「自分は被害に遭わないと思った」と回答している。
  • 「自分は被害に遭わないと思った」の回答者を「正常性バイアス」が働いたと見なして分析した結果、「自分は被害に遭わないと思った」の回答率は各年代を通じて女性よりも男性の方が高いという結果となった。
  • 全回答者の65.7%が金銭の給付は避難の「動機づけになる」と回答した。この回答率は若年層において高く、高齢層において低い傾向が見える。
  • 自然災害発生時の市民の避難行動は、人的被害を軽減するために重要であり、関連する研究が重ねられているものの、避難の意思決定行動のメカニズムはいまだ解明の途上にある。今後も研究が必要な分野である。

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