レポート

2021年度 No.4「日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震の被害想定」

2022.3.1

要旨

  • 2021年12月21日、内閣府より「日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震の被害想定」が公表された。
  • 今回公表された被害想定は、「あらゆる可能性を考慮した最大クラスの巨大地震・津波」を前提にとりまとめられており、これまでの被害想定に比べ、企業等への影響が深刻化している。
  • 本稿では、同想定のポイントは、「①津波浸水リスクの見える化」と「②積雪寒冷地事情への配慮」にあると考え、これらにフォーカスして、企業への影響や求められる対策等を整理する。

1.はじめに

2021年12月21日、「日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震の被害想定(以下、令和3年度被害想定)」が、内閣府から公表された。これは2020年4月21日に内閣府が公表した、日本海溝・千島海溝沿いにおける最大クラスの 地震・津波の推計結果(以下、令和2年度推定結果)に基づく被害想定である(表1)。

今回の「令和3年度被害想定」は、「あらゆる可能性を考慮した最大クラスの巨大地震・津波」に基づきとりまとめられており、「過去に繰り返し発生し、近い将来発生する可能性が高い地震」に基づきまとめられたこれまでの 被害想定1に比べ、企業等への影響が深刻化している。また定量的な被害量と合わせて、被害の様相等も詳細に公表されている。

本稿では、かかる「令和3年度被害想定」の特徴を踏まえたうえで、ポイントを絞って企業に与える影響や求められる対策等について整理する。

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