
2014年度 No.2 「国土強靭化基本法とBCM」
2014.9.1
0. はじめに
「国土強靭化」とは、自民党が掲げる主要な政策指針のひとつです。民主党政権下、つまり自民党にとっては野党時代からあたためていた政策指針で、平成25年12月、二階俊博衆議院議員を中心とした議員立法「強くしなやかな国民生活の実現を図るための防災・減災等に資する国土強靱化基本法」(以下、「基本法」といいます)として結実しました。
この基本法に基づいて、国としてどのような政策を展開していくのか、核となる事項をとりまとめたのが「国土強靭化政策大綱」です。これには、「BCP/BCM等の策定の促進」が「特に配慮すべき事項」のひとつとして盛り込まれました。このため、昨今、「国土強靭化」というキーワードで、BCP(事業継続計画;Business Continuity Plan)やBCM(事業継続マネジメント;Business Continuity Management)について語られる機会が徐々に多くなっています。
例えば、今年の7月に発足した、国土強靱化に関する活動を民間主導で推進するための組織「レジリエンス・ジャパン推進協議会」の主要な活動のひとつに「民間におけるBCP推進」が挙げられたのも、上記の国の動きに合わせたものと言えるでしょう。
そこで本稿では、基本法とBCP/BCMとの関連を中心にご紹介します。
1. 基本法とは
1.1 成立の背景
国が「国土強靭化」に取り組むようになった直接の背景は、2010年に発生したチリ地震にあるといわれます。地震波が地球を5周(東京大学地震研究所)するほどの大規模な地震(モーメントマグニチュード(Mw)8.8)で、日本でも大津波警報が出されたにも関わらず、警報にしたがって避難する人々のあまりの少なさに、後に基本法成立の立役者となる二階議員が愕然として、立法を思い立ったというエピソードがあるそうです。
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