レポート

2011年度 No.3 「電力不足による停電リスクに備えるために」

2011.7.1

1. はじめに

東日本大震災の影響により、日本全国各地でこの夏の電力不足が懸念されている。東京電力および東北電力管内では、7月1日より約37年ぶりの電力使用制限令が発動され、関西、中部、九州などの各地においても、節電の呼びかけがなされている。

節電対策については、多くの企業で既に対応を決定し、先行実施に取り組んでいるところも多いだろう。しかし、今夏が想定以上の猛暑となったり、自主目標となる小口需要家や家庭での節電が進まなかったりした場合、緊急避難的な措置としての計画停電が実施される可能性は残っているし、最悪の場合、大規模な広域停電が発生することも考えられる。電力使用規制に向けた節電策に目途がついたあとには、このような万が一の事態に備えることも重要である。

本稿では、大規模停電が発生した場合の影響を想定し、そのような状況下における企業の事業継続について考えたい。

2. 過去に発生した大停電事例

(1) 1987年首都圏大停電

夏の電力使用量の急激な増加による大停電は、実際、首都圏で発生したことがある。

1987年7月23日午後1時過ぎ、この日、首都圏ではフェーン現象が起こって、非常に気温が高くなり、昼休み明けの午後1時頃からクーラーなどによる電力消費量が急増した。この需要急増のスピードが通常の暑い夏の日の2倍に達するほど急激であったため、送電電圧が急激に低下し、保護措置として自動的に遮断装置が働き、東電の全供給量の約5分の1にあたる約800万キロワットの送電が停止された。

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