
2010年度 No.6 「IPアドレスの枯渇の現状と新たな規格への留意点」
2011.3.1
インターネットの世界的な普及の加速により、2011年から2012年に、現在のインターネットにおいて主に利用されている規格のIPアドレスが枯渇するとの予測がされている。IPアドレスはインターネットに接続される個別の機器を識別するためのいわばインターネット上の住所に相当するものであり、その在庫の枯渇はこれ以上インターネットに新たな機器を接続できなくなることを意味している。この問題を解決するために、世界では新たなIPアドレスの規格を定義し、このIPアドレスの規格への移行・対応が各企業において求められている。
本稿では、このような現在の規格のIPアドレスの枯渇と新たな規格への移行により企業が行う必要がある対応について、留意点を解説する。
1. IPアドレスとは
現実の世界で郵便物を届けるために住所が必要なように、インターネット上でもファイルやメールを届けるために、相手先の住所を指定する必要がある。その住所を、インターネット上ではピリオド(.)で区切った4つの数値(例:123.456.78.9)で表し、これをIP(Internet Protocol)アドレスと呼ぶ。IPアドレスはインターネット上の住所なので、同じIPアドレスを持つコンピュータは存在しないことになる。
さらにIPアドレスには、「グローバルIPアドレス」と「プライベートIPアドレス」の2種類がある。グローバルIPアドレスは、世界に一つしかないインターネット上のアドレスを表し、プライベートIPアドレスは、家庭やオフィス等のあるローカルな環境においてやり取りするためのIPアドレスを表す。
身近な例を挙げて説明すると、「東京都千代田区駿河台123 マンション456」という住所は、世界に1つしかなく、これがグローバルIPアドレスに当たる。ただし、マンション内の例えば、201号室/202号室などという住所(部屋番号)は、マンションが変われば同じ住所(部屋番号)は無数に存在する。これがプライベートIPアドレスということになる(図1)。
2. IPアドレスの枯渇の現状
グローバルIPアドレスは個数に限りがあるため、世界で一元的な管理が行われており、IANA(Internet Assigned Numbers Authority)(注3)という組織を頂点として図2のような階層構造で割り振りが行われている。
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