レポート/資料

2023年度 No.2「中国の日系企業向け 中国・安全生産法のポイント解説」

2023.9.1

要旨

  • 中国の安全生産法は、日本でいう労働安全衛生法に相当するものであり、労働者の安全・健康を守る上で、経営者や安全管理者がまず初めに押さえておくべき法律である。
  • 中国で防災関連のコンサルティングに従事する筆者に対して、日系企業より安全生産法に関する相談が増えている。同法の重要性は理解しているものの、理念的・抽象的な条文が多いため、具体的にどのような対応が求められるのかわかりづらく、対応が中途半端になっている恐れがあるといった悩みが共通して伺える。
  • 本稿では、同法の全体を俯瞰した上で、どの条文を根拠にどのような処罰を受ける恐れがあるか、実例を紹介する。最後に、企業における対策のポイントについて整理・解説する。

1. 安全生産法と日系企業

中華人民共和国安全生産法(以降、安全生産法と表記)は、製造業に限らずあらゆる形態の事業者(企業・個人事業主含む)に適用するものである。当法は2002年の公布・施行から3度改訂(2009年、2014年、2021年)されており、その都度、事業者の安全管理に関する義務・罰則に関する規定が追加されている。

筆者は中国で労働安全衛生に関するコンサルティングを行っているが、実際に現地の日系企業より「安全当局から安全生産法遵守に関する指導を受ける機会が増えた」「国内で大規模な事故の発生が報じられる度に、地元当局による査察・指導が厳しくなっていると感じる」という声を多く聞く。

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