レポート/資料

2021年度 No.6「中国データ安全法(データセキュリティ法)」の解説」

2021.12.1

本稿は、上海開澤法律事務所 パートナー弁護士の王穏氏に寄稿いただきました。

要旨

  • 2021年6月10日、第十三期全国人民代表大会常務委員会第二十九回会議において、「中国データ安全法(データセキュリティ法)」が通過し、2021年9月1日より正式に施行された。
  • 本法律は中国政府が国家戦略としてデータ安全保護の重要性を定め、データ安全領域の基礎を固めることを企図するものである。
  • 本稿では、「中国データ安全法」の概要および企業が注意すべきポイントを事例を交えて解説する

1. はじめに

2021年に入り、中国政府は国家情報の安全、インターネットの安全、データの安全、個人情報の保護を目的として、多くの法令や関連する規範文書を公布している。データの監督・管理を国家の情報戦略とする観点より、 企業データのコンプライアンスの発展に関する重要な内容の明確化を図っている。それらのうち、データ安全の監督・管理に着目した法律として、「中国データ安全法(データセキュリティ法)」が新たに公布された。

中国データ安全法は、7章55条から構成される。同法では、データ安全保護に関する主体的な義務・責任が明確に規定されている。「データ安全と発展」の章では、各制度体系について、「データ安全体系」および 「データ安全保護義務」の章では、重要データの処理者がデータ安全の責任者・管理組織を明確にすること、データ安全保護の管理を徹底することが重点項目として明記されている。

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