
2012年度 No.4 「中国におけるストライキの原因分析と対処方法について」
2012.7.1
(本号は、上海来来法律事務所の張春偉先生に寄稿頂いています。)
1. はじめに
日本において、ストライキは労働組合の主導により行われることが一般的である。しかし、中国においては、労働組合主導のストライキはあまりない。労働者は、ストライキの実施を事前に労働組合に報告せず、雇用主にも予告しないまま、ストライキに突入することが多い。中国に進出している日系企業は、このような突発的に発生するストライキを適切にコントロールすることが求められる。2010年には日系企業においてストライキが頻発したが、2011年にも外資系・中国資本系を問わず、大規模なストライキは引き続いて発生しており、日系企業がストライキに直面するリスクは絶えず存在している。本稿では、2011年に発生したストライキの原因を分析しながら、ストライキへの対処方法を解説する。
2. 2011年に発生したストライキの概要と原因について
(1) 2011年に発生したストライキの概要
2011年、中国東南沿岸部から内陸地域にかけて、数多くのストライキが発生し、賃上げや労働時間の短縮等を要求した。そのうち、参加人数が1,000人以上のものは13件にのぼる(参照;表1)。
表 1 で注目すべき点として、サービス業でも大規模なストライキが発生したこと(図中太字)が挙げられる。従来、大規模な労使紛争は、製造業でしばしば発生するものであった。
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