レポート/資料

中国では冬~春にかけて大気汚染がひどくなる季節、十分な対策を!/中国における洪水リスクについて【中国風険消息(中国関連リスク情報)2011年 第9号】

2011.11.1

(関連ニュース:2011年10月14日 Record china ほか 「北京の空気の質が警戒レベル越え、米大使館が独自観測」)

要旨

  • 2008年の北京五輪終了以降、中国での大気汚染レベルは再び悪化する傾向にあるという。
  • 特に大気汚染レベルが高いのは華北地域、西北地域である。
  • NASAの公表データによれば、中国においては夏よりも冬に大気汚染がひどくなる傾向にある。

ここがポイント!

2008年の北京五輪の開催にあたり、都市部では各種の大気汚染対策(車両の都市部への流入規制、石炭燃焼量の制限、有害物質の排出工場の閉鎖等)が実施され、それまでと比較して良好な大気汚染レベルにあるとされていた。しかし、2011年10月にWHO(世界保健機関)から発表された世界1100都市における大気汚染度調査報告によれば、中国の次のような都市がワースト60に入っている。

表1の最右列に示したとおり、中国6大地域分類(華北、華中、華南、東北、西北、西南地域)のうち、特に華北地域および西北地域の都市がワーストランキングに入っている。この理由として、工場や発電所、車両による排ガス等に加え、特に華北、西北地域では冬の寒さを凌ぐための石炭燃焼による地域暖房や、家庭の石炭ストーブの使用が挙げられる。また、1月~3月頃にかけては黄砂が発生するが、華北および西北地域は黄砂2の発生地域であるタクラマカン砂漠、ゴビ砂漠、黄土高原の風下に位置していることも大気汚染度合いが高くなっている一因である。なお、季節による大気の汚染度合いの違いについては、NASA(アメリカ航空宇宙局)が公開した資料(図1、図2)3に示すとおり、中国においては夏季よりも冬季においてその度合いが高い。

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