レポート/資料

2011年度 No.7 「中国の高速鉄道事故による海外企業への影響」「知的財産権の保護」

2011.8.1

(関連ニュース:「カナダの鉄道車両製造企業の株価が急落=中国の高速鉄道事故で」)

要約

中国浙江省温州市で23日夜、高速鉄道が追突し、脱線する事故が発生した。事故の原因は、鉄道の運行管理システムに重大な欠陥が存在したことと言われている。この事故により、死者40名以上、負傷者200名以上の人的被害が発生した。

この事故の影響により、同高速鉄道に技術提供を行っていた世界最大手の鉄道車両製造企業(カナダ)の株価が、トロント証券取引所で25日午後、2.29%安の5.98カナダドルに下落した。

ここがポイント!

中国の高速鉄道は2007年、上海~蘇州間で開業した。その後、営業距離はわずか4年で8,300キロメートルを超えるなど、他国での開発とは比較にならない程のスピードで進められてきた。このため、安全面での対策が十分なのか疑問視する声は以前から存在し、今回の事故の発生により、一段と激しく安全性が糾弾される事態へと発展した。

中国における高速鉄道開発は、開発最終段階では中国が独自に進めていたものの、開発初期段階においては日本、ドイツ、カナダなど海外の技術を吸収することが中心であった。このため、今回の事故では、技術を提供していたカナダの企業において、株価の下落という影響が生じている(ただし、同社は中国での事業展開も計画していたため、そのことも影響していると考えられる)。

今回の事故は、経済成長が著しい中国は世界からの注目を集めており、同国において今回のような事故・事件が発生すると、技術の提供元といった間接的な関係者にも、大きな影響を生じる可能性があることを浮き彫りにした。

レポートを全て見る