2022年度 No.4「トルコの地震リスク(その2)」
2023.2.1
要旨
- 今回地震が発生した東アナトリア断層はトルコ政府も地震が高い地域と認定している。
- 地震大国であるトルコは早い段階から地震対策に取組んでおり、現在の耐震基準は日本と同程度の高い水準である。
- しかしながら設計基準どおりに建築されていなかったり、耐震性を無視した改修が行われていたりするなど課題が多い。
前号では今回発生したトルコ大地震の概要と、トルコにおける地震リスクが高いことをハザード情報や過去に発生した地震などの情報をもとに説明した。
本号では今回地震が発生した東アナトリア断層と、過去より地震が多発している北アナトリア断層について、またトルコにおける建物耐震性の概要と課題について説明する。
1. トルコの主要な活断層
前号でも説明したとおり、トルコの主要な断層としてはアナトリア高原北部を東西約1,200kmにわたって横断する北アナトリア断層と国土の東から南側にかけて位置する東アナトリア断層がある。トルコ国土の大部分が位置するアナトリアプレートはアラビアプレートから押されて西側に移動しているが、この北側の縁が北アナトリア断層であり、南の縁が東アナトリア断層となる。
過去の大地震の多くは北アナトリア断層で発生しているが、20世期末頃より東アナトリア断層での地震も発生している。
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