レポート/資料

2014年度 No.1「消防法改正と小規模社会福祉施設における避難訓練」

2014.7.1

はじめに

近年、雑居ビル等で多くの死傷者を伴う火災が相次いで発生しており、防火・防災体制を強化するために消防法が改正された(平成26年4月施行)。この消防法改正により、雑居ビル等については建物全体の防火管理業務を行う「統括防火管理者」の選任が義務付けられ、消防計画の作成・届出及び消火・通報・避難訓練の実施が統括防火管理者の責務として明確化された。

グループホーム等社会福祉施設が入っている雑居ビルも対象となっており、その雑居ビルの統括防火管理者は、小規模社会福祉施設の避難訓練に関する知識の取得とその十分な理解が求められている。

本稿では、消防法改正の概説と小規模社会福祉施設の避難訓練について解説する。

1. 消防法の改正

消防法改正(消防法第8条の2、平成26年4月施行)により、雑居ビル等における統括防火管理者の選定が義務付けられ、建物全体の消防計画作成・届出、消火・通報・避難訓練の実施が統括防火管理者の責務として明確化された。統括防火管理者は、建物全体の消火・通報・避難訓練の不参加者に対して改善の措置を促すなど、各テナント等の防火管理者に対して、その権限の範囲において必要な措置を指示できるようになった。

統括防火管理者を定めなければいけない防火対象物は表1のとおりであり、自力避難が困難な者が入所する社会福祉施設が入っている建物は、収容人員10人以上、地上3階以上と比較的小さな建物も対象となっているのが特徴である。

なお、平成21年4月に施行された消防法の改正では、それまで防火管理が義務づけられていなかった小規模な社会福祉施設も新たに対象となり、小規模な社会福祉施設でも防火管理者を選定し、施設の実態に応じた消防計画の作成や防火教育・訓練の実施などの防火管理業務を行わせることが必要となった。

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