
2013年度 No.3「スポーツイベント開催におけるリスクへの対応」
2013.10.1
はじめに
マラソン大会参加者の心停止、サッカー大会における選手への落雷事故など、スポーツイベントでは競技参加者が重大な状況に陥るケースが度々発生する。
イベントの主催者には参加者の安全に配慮する義務(安全配慮義務)が生じる。具体的にはイベントの遂行中に発生する可能性のある危険性を予測すること(予見義務)、予見できた危険によって生じる結果を回避すること(結果回避義務)が求められ、こうした義務を果たさないと法的責任を問われることになりかねない。このため主催者としては、会場施設、競技の特性などを勘案したうえで、イベント開催に伴うリスクを洗い出し、各々のリスクを低減するための適切な対策を講じておくことが必要となる。
2020年の東京五輪開催決定を受けて、国内でもスポーツイベントが盛んになることが想定される。本稿はスポーツイベントを中心に、事故のないよう、安全なイベントの開催、運営を行うためのポイントを解説する。
1. スポーツイベント開催における留意点
スポーツイベントを開催するにあたって、まずは以下の4つに留意したい。
(1) 多くの関係団体による共同運営の場合、意思決定や責任分担が曖昧にならないようにする
イベントが開催される場合、多くの関係団体が集まって、企画、運営が共同で行われることが多い。単一の組織ではないため、組織力は弱く、意思決定や責任分担も曖昧になりやすい。事件、事故が発生した場合、その弱さが一気に露呈する。
この状況を補うためにもイベント運営マニュアルを整備しておきたい。意思決定者や責任分担をマニュアルで明確化することで、事件、事故が発生した場合に迅速な対応がとれるようになる。
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