
2013年度 No.2「リスクマネジメントにおけるフレームワークの活用について」
2013.9.1
はじめに
昨今コンサルティング現場においては、「想定外1のリスクがないか検証したい」というクライアントからの要請が多く寄せられる。この要請の趣旨としては、将来起こりうる不確かな事象や状況を予め想定して、リスクマネジメントの精度を向上させたいという点にあるものと思われる。
本稿では、どの組織体においても抱えているであろうこの課題認識を踏まえて、リスクの考え方およびフレームワークを用いたリスクの分析、特定の手法について検討する。
1. リスクの考え方
リスクマネジメントの管理対象はリスクである。このリスクの定義には変遷があり、最新のガイドラインである「JISQ31000:2010リスクマネジメント-原則及び指針」では、リスクを『目的2に対する不確かさ3の影響4』と定義している。
この定義によれば、リスクは目的との関係で把握すべきものであり、目的に影響のない不確実性はそもそもリスク管理の対象から外れることを意味する。すなわち、リスクマネジメントを実施する上では、まずは目的をしっかりと認識することが必要となる。
また、この定義は、『不確かさ』と『その影響』いう二つの視点からリスクを検討する必要があることを示唆している。ここで特徴的であるのが、プラスであれマイナスであれ、『影響』はすべてリスクと捉えている点である。
2. リスクマネジメントに活用できるフレームワーク
伝統的なリスクマネジメントは、目的に対するマイナスの影響をリスクと捉え、リスクの顕在化を回避し、または、リスクが顕在化した場合の影響度を軽減することを目的として活用されてきた。
もっとも、グローバル競争やIT社会の進展に伴い日々変化が激しいビジネス環境においては、マイナスの影響を回避・軽減するだけでは生き残ることができない競争社会となってきており、いかにプラスの影響を取り込んでいけるかということが重要な経営課題であるといえる。
以下では、上記課題認識を踏まえて、リスクマネジメントに活用可能なPEST分析・シナリオ分析を紹介する。なお、PEST分析結果は、シナリオ分析の前提として活用できるという関係にある。
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