コラム/トピックス

ドライブレコーダーを活用した、交通事故防止取り組み

2024.3.21

企業におけるドライブレコーダー活用の課題

近年、バス、トラックやタクシーなど、自動車運送事業者によるドライブレコーダーの導入が一段と進んでいます。最近のドライブレコーダーには、複数チャンネル録画機能や常時録画機能、あるいは音声の記録など、現場のニーズに応じた様々な機能が追加されてきています。また、フォークリフト用やバイク用、船舶用など様々な用途に応じたドライブレコーダーも開発されています。国土交通省では、自動車運送事業者を対象とする「運輸安全マネジメント制度」を推進していく中で、ドライブレコーダーを事故時の記録にとどめるのでなく、事故防止・削減効果を上げるため教育指導に活用することを奨めています。

さらに最近では、自動車運送事業者を中心にドライブレコーダーの導入が進んできましたが、一般企業が保有する社有車への導入も進みつつあります。この背景には、「事故をなんとかして減らしたい」という企業の安全運転管理部門の強い思いがあることは確かです。しかし、運転者への指導・監督について法令の中で細かく規定されている自動車運送事業者とは異なり、一般企業においては道路交通法に基づく安全運転管理者制度はあるものの、実態として教育指導の体制そのものが不十分な場合が多く、ドライブレコーダーを導入しても活用面で行き詰まる場合も多くあります。

ドライブレコーダーの導入を検討される企業にあたっては、実際に社内でどのように活用するのかを検討し、導入の目的や活用方法、データ分析や個別指導を行う部署や要員などをあらかじめ整理の上、目的や活用方法にあった機種を選定されることをお奨めします。

事故防止・削減のマネジメントサイクル

ドライブレコーダーは、事故やヒヤリ・ハット事例などを映像として記録するため、運転者の癖や日常の運転行動を把握することができます。すなわち、事務所内では把握し得ない「外に出た後の運転者の運転行動を『見える化』することができる」のです。

運輸安全マネジメント制度やISO39001(道路交通安全マネジメントシステム)などのマネジメントシステムの取り組みでは、まず現状の把握と存在するリスク(組織の脆弱性)の把握を進めていくことになりますが、ドライブレコーダーによる運転者の運転行動の「見える化」は、この現状把握のための材料の洗出しに有用です。また、事故防止をPDCAサイクルで取り組んでいくにあたり、ドライブレコーダーの映像やデータは各フェーズで有効活用が可能です。

ドライブレコーダー活用のポイント

ドライブレコーダー導入の効果は、大きく分けて三つあります。
一つ目は、事故時の映像の記録を残すことである。二つ目は、事故防止・削減のための活用、そして、三つ目は、教育効果の把握への活用です。

ドライブレコーダーのデータ抽出にはかなりの労力がかかるという運用面での課題があります。が、最近では、通信機能の搭載により、車両の運転状況を逐次把握できるドライブレコーダーも開発も進んでいますが、単にデータや映像を集めるだけでは、その先の活用にはつながりません。ドライブレコーダーは自動車事故防止・削減の取り組みに対して様々な有効活用ができますが、効果を得るために有効活用するには、収集、分類整理、原因分析、教育等の対策実施等、「人と時間」という経営資源の投入が必要です。つまり、実際に活用を推進していく現場管理者層の、工夫とリーダーシップが重要なのはいうまでもありませんが、さらにそれをサポートする体制が必要不可欠です。

せっかくのドライブレコーダーを有効に活用できるか、単に事故状況の記録機材にとどめてしまうかは、「経営資源の投入」という経営層の覚悟にかかっています。ぜひ、事故防止・削減のために、ドライブレコーダーをより効果的に活用していただきたいです。

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