コンサルタントコラム

社内の交通事故防止に向けた取組の振り返りの重要性

[このコラムを書いたコンサルタント]

専門領域
交通リスク
役職名
マネジャー・上席コンサルタント
執筆者名
澤野 滋明 Shigeaki Sawano

2024.2.21

昨年1年間の交通事故発生状況が、本年1月4日に警察庁交通局より公表された。昨年の交通事故死者数は2,678人であり、ピーク時の1970年に比べ、約16%という水準となった。だが、一昨年との対比では68人増となり、実に8年ぶりの増加となった。交通事故の発生件数においても、令和5年は307,911件となり、一昨年に比べ7,072件増加した。これは、昨年5月に新型コロナウイルス感染症が5類に移行されたことに伴い、人流および交通量が回復傾向にある中で、交通事故の発生状況も変化してきたことが主な要因と考えられている。企業における交通事故防止についても、それぞれの事故発生傾向をふまえ、実施すべきこと、できること等を検討し、おかれている状況や環境に応じて対策を講じていくことが大切だろう。

この時期、筆者の業務で数多くご要請いただくのが、運輸事業者における「運輸安全マネジメント」に関する「内部監査」である。運輸安全マネジメントについては、安全管理体制の構築・改善に係るねらいとその進め方の参考例として、「運輸事業者における安全管理の進め方に関するガイドライン」が定められている。このガイドラインでは「期待される安全管理の取組」として14項目があり、この14項目について、PDCAサイクルの仕組みを導入し有効活用することにより、輸送の安全の一連の取組を推進することが求められている。

「内部監査」はPDCAの「C」にあたり、事業者の1年間の取組を振り返るために必要な項目であり、ガイドラインの11番目に記載されている。ところが、中にはこの内部監査をうまく実施できておらず、取組の優良点や課題が明確化されないまま1年を終え、次年度を迎えるというところも見受けることがある。このような状況になると取組改善の機会が失われ、安全管理体制の継続的な改善につながらない。取組を見直し、改善を検討することで、「次年度の目標設定や取組計画の策定」につなげていくことが大切である。

周囲の環境は日々変化しており、前年度と同じ取組を継続しても、目標達成は難しい場合も考えられる。企業それぞれの状況や環境変化を踏まえ、「頑張れば達成できる目標と取組計画」を定め、具体的な対策とそれを実施する責任者、および実施期限を決めて取り組むことが望まれる。

運輸事業者以外の皆さまにおいても、社内の交通事故防止取組について、「内部監査を実施する」となると敷居が高く感じられるかもしれないが、事故の発生件数のみならず、自社の1年の事故発生傾向や取組計画の遂行状況、取組の結果を確認し、振り返ることは、それぞれの状況や環境に応じた有効な対策を講じていくために重要である、とご認識いただきたい。その上でPDCAサイクルを意識して、結果を生んだ「要因」を明確にし、その要因を改善するための目標や計画の策定につなげることを、今、この時期に取り組んでいただければ幸いである。

以上

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