生物多様性増進法が成立、OECM登録増に向け企業活動に伴う手続きを簡素化
2024.6.25
国立公園などの保護地域以外で生物多様性保全に資する地域(OECM)の登録増を目的にした生物多様性増進法が4月19日、成立した。地域での生物多様性の回復に貢献する企業の活動を、関連する法的な手続きを簡素化するなどして後押しする。
対象になるのは、ネイチャーポジティブの実現を目的にした企業による①生物多様性「維持」②生物多様性がすでに劣化している場所での「回復や創出」――の2種類の「活動」。これらの活動の実施計画などが同法の認定を受けると、関連する法律(自然公園法、外来生物法など)に伴う手続きが簡素化される。
環境省の説明によると、活動によって生物多様性の状態が豊かになった時点で、対象の土地がOECMに登録される。
生物多様性に貢献する企業などの活動に事実上公的な“お墨付き”を与える格好。例えば、新法により製品の原料生産地などでの活動で認定を得た場合、その企業は自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)の枠組みに沿った情報開示において、認定を受けた活動を自社事業で生じた生物多様性への負の影響の緩和策に挙げるといった使い方が考えられる。自然共生サイトの認定をTNFD開示に活用することを目論む企業も多いことから、同法の認定も同様の活用が見込まれる。
「30 by 30目標」の実現に向けた国の制度には、すでに自然共生サイトがあり、2023年度の開始以来、企業緑地を含め184か所が認定されている【2023年前期・後期合計】。自然共生サイトが「場所」を対象にする一方、生物多様性増進法は「活動」を対象にする点が異なる。
【参考情報】
2024年4月12日付 環境省HP:
https://www.env.go.jp/press/press_02863.html
参議院HP:
https://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/~
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この記事は「ESGリスクトピックス2024年度 No.3」(2024年6月発行)の掲載内容から抜粋しています。
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