経産省と総務省が「AI事業者ガイドライン(第1.0版)」を公表 既存ガイドラインを一本化、人間中心のAI社会を明確に
2024.6.26
経済産業省と総務省は2024年4月19日、「AI事業者ガイドライン(第1.0版)」(以下、本ガイドラインという)を公表した。本ガイドラインは、生成AIの普及を始めとする近年の技術の急激な変化や世界各国の法規制、ガイドライン等へ対応するため、既存のAI開発ガイドライン、AI利活用ガイドライン、AI原則実践のためのガバナンスガイドラインを統合及び更新したもの。本編では「人間中心のAI社会原則」(1)のもと、社会全体としてAIをどのように受け入れるかの基本理念と、どのように取り組むかの指針を示し、別添ではAI事業者が本ガイドラインの指針を実現するための実践を具体的な取組みで示した。また、本ガイドラインは生成AIの急速な開発スピードに合わせ、必要に応じて継続的な更新が行われる予定だ。
本ガイドラインの対象者(主体)は、AIシステムの構築を行う「AI開発者」、AIシステムのサービス提供を担う「AI提供者」、そしてAIシステムやサービスを事業活動で利用する「AI利用者」である。「AI開発者」、「AI提供者」、「AI利用者」は、それぞれの立場から社会が目指すべき方向(基本理念)を踏まえ、AIについてどのような取組を行うべきか(指針)を明示し、それに基づいてどのように取り組むか(実践)を決定・実施することが求められている。
AIをめぐる考え方及び法令は国・地域で異なるため、特に国境を越えて活動を展開する事業者にとっては、現地の法令に対応することが必要だ。また、ステークホルダーからの要望に応えることも求められている。高度なAIシステムについては、市場へ導入する前に安全性評価の枠組みを検討するなど、国・地域によりガバナンスの実効性を担保する措置が必要な場合もあるため、それに注意を払うことが重要だ。本ガイドラインを基盤として、各主体が適切なAIの利活用を推進することを期待したい。
1)出典:内閣府統合イノベーション戦略推進会議決定「人間中心のAI社会原則」(平成31年3月29日)
https://www8.cao.go.jp/cstp/aigensoku.pdf
【参考情報】
2024年4月19日付 経産省HP:
https://www.meti.go.jp/press/2024/04/~
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この記事は「ESGリスクトピックス2024年度 No.3」(2024年6月発行)の掲載内容から抜粋しています。
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