コンサルタントコラム

パスワードの無い世界へ向けた現在地 米FIDO Allianceが調査結果を公表

2024.6.27

パスワードよりも安全で簡単な認証技術の標準化を目指している米国非営利団体のFIDO Allianceは、強固なパスワード設定や情報セキュリティ対策の重要性を広めることを目的とした世界パスワードデーの2024年5月4日に合わせて、米国と英国在住の2,000名を対象としたパスワードとパスキーに関する調査結果を公表した。

調査結果によると、回答者の86%が1年以内に複数回パスワード変更を行う必要があり、1か月以内に限定しても17%、1週間以内でも9%は複数回パスワードを変更する必要があると回答している。多くの人が旧来のパスワード管理に労力を要している現状が明らかとなった。また、回答者の45%がパスワードを忘れたことにより、Webサイトへのログインやショッピングサイトで商品購入を諦める可能性が高いと回答。利用者の安全性を保つためのパスワードが、相当数の機会損失に繋がっており、顧客体験を向上させるためにはパスワード方式の見直しが求められる。

他方、スマートフォンの生体認証機能や専用のセキュリティキーを利用して認証するパスキーに関する調査結果によると、回答者の62%がパスキーを認知していると回答しており、社会での認知が高まっている。実際に回答者の53%が、自分のアカウントでパスキーを利用可能にしたことがあると回答。パスキーに関してある程度知識を持つ回答者に限ると74%がパスキーを利用可能にしたと回答している。パスキーに理解のある回答者は利用意欲が高く、安全性や利便性についても高く評価する割合が高かった。

Google社によると、パスキーは既に4億以上のGoogleアカウントで利用されており、旧来のSMSを用いた認証方式等よりも一般的に利用されている(1)。海外だけではなく、国内の大手通信事業社やサービス業においてもパスキーのサポートが進み、利用機会が増えている。パスワードの無い世界へ向けた移行は着実に進んでおり、今後も高い利便性や認知度を追い風に加速することが期待される。

1)出典:「Passkeys, Cross-Account Protection and new ways we’re protecting your Accounts」
https://blog.google/technology/safety-security/~

【参考情報】
2024年5月2日 FIDO Alliance「New Survey: Half of People Use Passkeys as Frustrations with Passwords Continue」:
https://fidoalliance.org/new-survey-half-of-people~

「ESGリスクトピックス」では国内・海外の最近の重要なトピックスをお届けしています

この記事は「ESGリスクトピックス2024年度 No.3」(2024年6月発行)の掲載内容から抜粋しています。
ESGリスクトピックス全文はこちらからご覧いただけます。
https://rm-navi.com/search/item/1721

会員登録でリスクマネジメントがさらに加速

会員だけが見られるリスクの最新情報や専門家のナレッジが盛りだくさん。
もう一つ上のリスクマネジメントを目指す方の強い味方になります。

  • 関心に合った最新情報がメールで届く!

  • 専門家によるレポートをダウンロードし放題!

  • お気に入りに登録していつでも見返せる。