TCFDコンソーシアムがカーボンニュートラル達成に向けた移行計画策定で企業向けガイドを公表
2024.10.15
日本国内の企業などが参加するTCFDコンソーシアムは2024年8月30日、カーボンニュートラルの達成に向けた「移行計画」のガイドブックを公表した。企業が同計画の作成時に参考とすべき考え方や策定の留意事項、内容例などを具体的に示した。同計画作成の指針は、英国TPT(Transition Plan Taskforce)などが示しているが、本ガイドブックは日本企業がより馴染みやすい内容を目指した。
ガイドブックでは、移行計画を「低炭素・脱炭素社会への移行と価値創造を企業がどのように両立させるかについて、可能な限り明確に示した意思決定に有用な情報」と位置づけ。以下の3点を基本概念として抽出した上で、事例を交えて解説している。
- 低炭素・脱炭素社会への移行
低炭素・脱炭素社会へ向かう指向性、移行のインパクトが企業価値の向上にどう関連すると考えているかを開示 - 事業戦略との整合
企業が中期経営計画等で示す将来像や取り組みと、移行計画に描かれているビジネスモデルや時間軸との整合を図る - 他者への働きかけ
自社がバリューチェーン、政府、一般市民等にどのように働きかけ、自社が想定する排出削減を実現するかを開示
その上で、移行計画の策定や開示にあたって、留意・参照すべき事項として以下を示した。
- 移行計画を策定すべき企業
気候変動を重要と考える企業が対象。ただし、2050 年カーボンニュートラル達成を目指す日本では、企業は移行計画の開示、少なくとも開示の必要性の検討が求められる。 - 策定すべき時期
移行計画として独立した開示は、企業の気候関連開示の中では比較的進んだ段階が順当。 - 策定の体制
全社的(経営企画関連部署をはじめとする社内の複数部署)および業界・バリューチェーンを通じた社外、社外取締役・外部有識者など内外の連携が望ましい。 - 移行計画に含めるべき内容
TCFD の四つのテーマ(ガバナンス、戦略、リスクマネジメント、指標・目標)に応じて具体的内容を提示。
【参考情報】
2024年8月30日付 TCFDコンソーシアムHP:
https://tcfd-consortium.jp/news_detail/24083001
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この記事は「ESGリスクトピックス2024年度 No.7」(2024年10月発行)の掲載内容から抜粋しています。
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