レポート/資料

令和6年に発生した台風と災害への備え 「災害リスク情報(第100号)」

2024.11.1

要旨

令和6年台風第10号では暴風や大雨により、西日本から東日本の太平洋側を中心に土砂災害や建物損壊など多大な被害が生じました。被害に遭われた皆様には心からお見舞い申し上げます。
本稿では、令和6年台風第10号を中心とした令和6年の台風に関する情報についてまとめるとともに、災害への備えについても記載します。
なお、本レポートは2024年10月23日時点の情報に基づいて作成しています。

1. 令和6年(10月まで)の台風について

令和6年に発生した台風は10月23日時点で20個となっている。表1には本州に被害をもたらした主な台風を示す。この3つの中で特に被害が大きかったのが台風第10号である。

【表1】令和6年 被害をもたらした主な台風

号数 日時 中心気圧(hPa) 最大風速(m/s) 強さ
台風第5号(上陸) 8/8~8/13 980 30
台風第7号(接近) 8/13~8/19 950 45 非常に強い
台風第10号(上陸) 8/22~9/1 935 50 非常に強い

※国土交通省や総務省消防庁、気象庁が発表した情報をもとに作成 ※1)※2)※3)

台風第10号の経路を図1で示す。8月22日3時にマリアナ諸島で発生した台風第10号は、24日にかけて発達しながら北へ進み、25日には進路を北西へ変えて進んだ。台風は日本付近で動きが遅くなり、27日に非常に強い勢力となって奄美群島に接近し、進路を北に変えて九州に接近した。台風は、上陸直前には中心気圧935hPa、最大風速50m/sの勢力となり、29日8時頃に鹿児島県薩摩川内市付近に上陸した。上陸後は、ゆっくりとした速度で勢力を弱めながら九州や四国を通って東海道沖へ進み、9月1日12時に熱帯低気圧に変わった。
台風が非常に強い勢力で接近したため、8月27日から29日にかけて鹿児島県では最大風速30m/sを超える猛烈な風を観測し、九州の複数の観測地点で8月の最大風速の観測史上1位の値を更新した。
28日には、鹿児島県(奄美地方を除く)の市町村に暴風、波浪、高潮の特別警報が発表された。
また、西日本から東日本の太平洋側を中心に記録的な大雨となり、8月28日から31日にかけて、鹿児島県、宮崎県、大分県、徳島県、香川県、兵庫県及び三重県で線状降水帯が発生した。※4)

【図1】台風第10号の経路図
【図1】台風第10号の経路図(気象庁 ※5))※当社で一部加筆

図2は台風第10号の影響を受けた8月27日から9月1日までの降水量の合計値を示す。期間中の総雨量は静岡県伊豆市天城山で977.5mmなど、平年8月1か月分の降水量の2倍以上となった所があった。
また、図3、4は8月27日から9月1日までの最大風速と最大瞬間風速の状況示す。九州を中心に観測史上1位の値を更新した所が多くなった。なお、最大風速と瞬間風速、最大瞬間風速の定義は表2の通り。

【図2】降水量の期間合計値
【図2】降水量の期間合計値(期間:2024年8月27日~9月1日(気象庁 ※6))※当社で一部加筆
【図3】期間最大風速
【図3】期間最大風速(期間:2024年8月27日~9月1日(気象庁 ※6)
【図4】期間最大瞬間風速
【図4】期間最大瞬間風速(期間:2024年8月27日~9月1日(気象庁 ※6)

【表2】最大風速、瞬間風速、最大瞬間風速の定義(気象庁 ※7)

最大風速 10分間平均風速の最大値
瞬間風速 風速計の測定値(0.25秒間隔)を3秒間平均した値(測定値12個の平均値)
最大瞬間風速 瞬間風速の最大値

表1であげた台風の主な被害状況は次の通りとなっている。なお、9月10日時点での国土交通省、総務省消防庁及び内閣府から公表されている情報をもとにまとめている ※8)~※17)。…

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