自然共生サイト支援証明書試行、特設HPで受付開始、先行申請で事例掲載も
2024.11.6
環境省は2024年9月13日、生物多様性の保全が図られている区域を認定する「自然共生サイト」への支援証明書の試行的な運用を始めた。申請の受付とともに、マッチング参加者も募集する。
この支援証明書は、特定の自然共生サイトについて質の維持・向上を支援する企業などに環境省が発行する制度。2022年生物多様性条約第15回締約国会議(CBD-COP15)で採択された世界目標「昆明・モントリオール生物多様性枠組(GBF)」の実現に向けた国内施策の一貫だ。
今回の募集は2025年1月17日締め切りで、審査を経て同年2月~3月に証明書の発行が決まる。同4月から本格運用の予定だ。
環境省の自然共生サイトHP※1で申請に必要な書式や記載要領などをダウンロードし、事務局にメールで提出する。手数料が10万円かかる。申請時には、支援活用計画や覚書など、金銭や人的・技術的・物的支援の事実を証明する情報の提出が必要。条件に応じて、支援がGBFに基づく目標達成に寄与する関連性をロジックモデルで記載する必要がある。
<図1:支援証明書制度およびマッチング制度の流れ>
<図2:ロジックモデル記入の例>
今回の試行版証明書を取得すると、2025年4月の制度本格運用後も有効。加えて、先行例として環境省HPへの掲載や有識者の助言を得られるなどの特典がある。また、同省は、自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)の枠組みに即した開示の際に、支援証明書が投資家へのアピールに役立つと強調する。
<図3:支援証明書をTNFD等の情報開示に活用する場合のポイント>
一方、同省は、支援を受けたい「自然共生サイト」の実施主体とそれを支援したい企業など支援主体とを引き合わせるマッチング参加者の募集も開始した。例えば、「生き物のモニタリングを実施したい」ニーズを持つ自然共生サイトと、「ドローン等の先端技術を活用した生物多様性調査」を提供したい支援者などの組み合わせを創出するのが狙い。募集締め切りは2025年3月21日。
希望者は、環境省の自然共生サイトHP内のフォームに、支援を受けたい内容や提供可能な支援内容などの情報を記入し申し込む。また、環境省のYouTubeチャンネルにアピール動画を掲載することも可能だ。掲載企業などに連絡を取りたい場合、必要情報を自然共生サイト事務局宛にメールで連絡する。
【参考情報】2024年9月13日付 環境省HP:
https://www.env.go.jp/press/press_03689.html
※1 環境省の自然共生サイトHP:
https://policies.env.go.jp/nature/biodiversity/30by30alliance/kyousei/
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この記事は「ESGリスクトピックス2024年度 No.8」(2024年11月発行)の掲載内容から抜粋しています。
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