
ミャンマーにおけるサイクロン・洪水リスクと2024年雨季の展望【Myanmar Flood Report 2024 No.01】
2024.7.2
- ミャンマーでは雨季が本格化する7~9月に洪水リスクの危険性が増加します。
- ベンガル湾におけるサイクロンの発生頻度は6月から10月、特に7月から9月にかけて高まります。ただし、過去のミャンマーへの上陸は雨季シーズン前後である4-5月と10-12月が主となっており、この時期は暴風と高潮災害への警戒が必要です。
- ミャンマーにおいて過去最も甚大な被害となったサイクロンは2008年5月のサイクロンNargisであり、最大潮位7mの高潮等により8万名以上の死者となる甚大な被害が発生しています。
- 今年後半、多くの気象機関がラニーニャ現象の発生を予想しています。ラニーニャ現象はミャンマー付近の東南アジア地域に多雨をもたらす可能性が高く、雨季期間中は例年以上の大雨災害への警戒が必要です。
ミャンマーにおける年間の気候と自然災害発生時期の特徴
ミャンマーの季節は、概ね10月下旬から3月までの乾期、4月と5月の酷暑期、6月中旬から10月中旬頃までの雨期と大きく3つの季節に分かれます。6月から9月にかけては湿った暖かな風が吹き込む南西モンスーン(季節風の影響を受けて高温多湿となり、大雨や雷が発生しやすくなります。12月から4月にかけては北東モンスーンの影響を受けて比較的涼しくなります。
下図はミャンマー気象局による自然災害ハザード別の年間カレンダーです。 特に警戒すべき期間としては、雷雨が3ー10月、大雨が5ー9月、洪水が6ー10月、サイクロンが4ー5月と10ー11月、モンスーン低気圧による強風が5ー9月とされています。
ミャンマーにおける自然災害ハザードカレンダー
(出典:Department of Meteorology and Hydrology (Myanmar))
サイクロンの区分とミャンマーにおけるサイクロン発生の特徴
サイクロンは、インド洋北部、インド洋南部、太平洋南部で発生する熱帯低気圧全般を指します。
ミャンマー含む北インド洋地域においてサイクロンは最大風速を基準として下記のとおり分類されており、インド気象局やミャンマー気象局の発表資料においては以下の用語が使用されています。ミャンマーが面するベンガル湾(北インド洋地域)では 最大風速34kt(ノット、1ノットは約0.5144m/s)未満の場合をDepression/Deep Depression(熱帯低気圧)、34kt以上の場合を Cyclonic Storm[CS](サイクロン)と区分され、特にCS以上の勢力のサイクロンでは暴風や高潮への警戒が必要となります。
北半球における熱帯低気圧の風速基準による主要な区分基準
(インド、ミャンマー、日本、フィリピン、米国、などの気象局の公表情報をもとに弊社にて作成※)
※上表と異なる定義が用いられている国があることに注意
下表は2014~2023年における、ベンガル湾でCS以上の勢力に発達したサイクロンの国別の上陸回数です。ベンガル湾では年平均で 3個弱程度のサイクロンが発生しており、サイクロンは東→西、または南→北の進路をとることが多く、インド、スリランカ、バングラディッシュ方面への上陸・接近の頻度が高い状況です。過去 10年間でミャンマー沿岸には2017年と2023年の計2回上陸しています。
2014~2023年にベンガル湾でCyclonic Storm以上の勢力に発達したサイクロンの国別上陸回数
(India Meteorological Departmentの公表情報をもとに弊社にて作成)
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