CPSCが育児用品の事故に関する報告書を公開
2024.12.27
米国消費者製品安全委員会(以下、CPSC)は2024年9月19日、育児用品に関連する事故についての報告書を公開しました。
CPSCでは、育児用品に関連した事故に関する報告書を定期的に公開しており、最新版は2021年から2023年に発生した事象について取り上げています。以下は、その概要です。
1)救急外来で治療された負傷
育児製品に関連して、米国の病院の救急外来で治療が行われた5歳未満の子どもの負傷者数は、2023年に約6万人(推計)であった。これは5歳未満の子ども10万人当たり約300人であり、過去3年間で大きく変化していない。
また、事故の原因は転倒が最も多く、受傷部位の約7割が頭部・顔面であった。
育児製品の製品カテゴリー別の負傷者数は、図1のとおりである※1。
上位4つのカテゴリー(ハイチェア、ベビーベッド/マットレス、ベビーカー、抱っこひも)で全体の約64%を占めている。
図1 製品カテゴリー別、5歳未満の子どもの負傷人数
(報告書を元にMS&ADインターリスク総研にて作成)
2)育児用品に関連した死亡事故
2021年~2023年に、育児用品関連の死亡事例は523人(年平均174人)となった。
製品カテゴリー別の死亡者数は図2のとおりである。
死亡事故との関連が最も多い製品はベビーベッド/マットレスであり、その内67%が、必要以上の枕や毛布が置かれているなどベッド上の環境が適切でないことに起因する窒息であった。
また、傾斜型睡眠用品に関連して38人が死亡しているが、当該製品は2022年6月に発効した安全基準の規制対象となっている。
図2 製品カテゴリー別、5歳未満の子どもの死亡人数
(報告書を元にMS&ADインターリスク総研にて作成)
本報告書のとおり、米国では育児用品に関連して継続的に重大事故が発生しています。このことから、CPSCでは、育児用品を含めた子ども用製品についての安全基準の策定を進めています。
一方で、日本においても製品安全4法の改正を踏まえ、「子供用特定製品」が指定され、子どもの生命・身体に対する危害防止のための技術基準が定められることとなっています。
育児用品に関わる事業者においては、こうした国内外の動向を踏まえ、安全な製品の設計と消費者への適切な注意喚起を行っていくことが求められます。
1) 事故の直接の原因が当該製品でない場合も含む