コラム/トピックス

なぜ企業は風水害対策を強化すべきなのか?梅雨や台風シーズンが来る前に専門コンサルタントが解説

[話を聞いたコンサルタント]

武弓 倫子
会社名
MS&ADインターリスク総研株式会社
所属名
リスクコンサルティング本部 リスクマネジメント第四部
BCM第三グループ 主任コンサルタント
氏名
武弓 倫子 Noriko Takyu

2025.4.17

集中豪雨や土砂災害。毎年のように、全国各地で大きな被害が出ています。企業も、従業員の命を守り、自社の拠点が被害にあわないように対策をとる必要があります。特に、製造工場や物流倉庫などが被災した場合、人的・物的被害のみならず、生産活動やサプライチェーンにも影響が波及し、事業継続にも支障をきたすことにもなりかねません。

こうした中、MS&ADインターリスク総研では、5月20日に「風水害対策とBCPの重要性 ~出水期を前に知っておくべきこと~」と題してセミナーを開催します(5月28日に録画内容を配信)。改めて、企業が風水害の対策にいっそう力を入れて取り組むべき理由について、当日のセミナーで登壇する予定の主任コンサルタント、武弓倫子に話を聞きました。

この記事の
流れ
  • なぜいま、風水害対応が必要なのか?
  • 増える大雨の発生回数
  • 風水害で企業にはどんな被害が?
  • 当日のセミナーお伝えするポイント

なぜいま、風水害対応が必要なのか?

ーー5月20日に「風水害対策とBCPの重要性 ~出水期を前に知っておくべきこと~」と題したセミナーを開催しますが、このセミナーを企画した背景について教えてください。

武弓)毎年、集中豪雨や台風で甚大な被害が出ています。企業にとってもBCP(事業継続計画)の観点から対策が必要となりますので、参考となる情報をお伝えしたいと考えて、セミナーを企画しました。

当日のセミナーで登壇予定の主任コンサルタント武弓倫子
当日のセミナーで登壇予定の主任コンサルタント武弓倫子

当日のセミナーで登壇予定の主任コンサルタント武弓倫子

ーー集中豪雨や台風による大きな被害が相次ぐ中、企業からの問い合わせも増えていますか?

武弓)この2、3年で風水害対策に関する相談が増えてきていると、コンサルタントとして実感しています。業種別では、製造業・物流業・小売業など、風水害の直接的な影響を受けやすい場所に多くの資産(機械設備、貨物、車両など)を保有する企業の関心が高いと感じます。

BCPや防災対策は、数年前までは大地震を想定リスクとして取り組んでいた企業が多かったのですが、ここ数年では毎年のように甚大な浸水被害が発生していることを受け、風水害に関してもBCPや防災対策に取り組みたいという相談を受ける機会が増えたことも、今回のセミナー開催の背景の1つです。

増える大雨の発生回数

ーー昨今の風水害では被害が大きく、頻度も高まっているように思います。

武弓)気象庁のデータを見ると、実際に風水害が激甚化・頻発化していることがわかります。ここ3、40年のデータでは、1時間の降水量が50mm以上の「非常に激しい雨」や、80mm以上の「猛烈な雨」の発生回数が増加していることがわかります(図1)。

【図1】1時間の降水量の年間発生回数

【図1】1時間の降水量の年間発生回数
【図1】1時間の降水量の年間発生回数

また、近年の風水害の特徴としては「線状降水帯※1」の発生が挙げられます。線状降水帯は、まだ発生のメカニズムがよくわかっていない部分が多く、正確な予測が難しい上に、広い範囲に積乱雲が滞在することで、広域に大量の雨を降らせるため、大きな被害につながりやすくなっています。

※1)線状降水帯:次々と発生する発達した雨雲(積乱雲)が列をなした、組織化した積乱雲群によって、数時間にわたってほぼ同じ場所を通過または停滞することで作り出される、線状に伸びる長さ50~300km程度、幅20~50km程度の強い降水をともなう雨域(気象庁より)

風水害で企業にはどんな被害が?

ーー風水害では、企業にはどのような被害が出る恐れがありますか?

武弓)主要な設備が浸水することで、会社や工場のインフラが使えなくなる恐れがあります。これによって、在庫管理ができなくなったというケースも起きています。また、広域に事業拠点を持っている企業の場合は、本社が大丈夫であっても、遠隔にある事業拠点が被災して事業が中断してしまうケースもあります。

一方で、風水害の中には、台風のように1週間前くらいから進路や規模が公表されるものもありますので、事前に備えることで被害を抑えることも可能です。工場であれば、事前にハード面の対策を施すことで、倉庫や機械室への浸水を防ぐことができます。また、風水害では通勤経路上で従業員がけがをする恐れが出てきますので、事前に出退勤に関するルールなどを整えておくことも重要になってきます。

当日のセミナーでお伝えするポイント

ーーここまでの、“なぜいま、企業が風水害対応をすべきなのか”という点を踏まえ、当日のセミナーでは、どんなポイントについて話をする予定ですか?

武弓)風水害に備えるためには、自社の事業拠点や従業員の通勤経路などにどんなリスクがあるのかを把握する必要があります。そのリスクを把握する際には、ハザード情報を調べることになるので、情報収集に役立つWEBサイトなどをご紹介します。

当日のセミナーで登壇予定の主任コンサルタント武弓倫子
当日のセミナーで登壇予定の主任コンサルタント武弓倫子

また、実際の災害が起きた場合には、緊急時の体制を立ち上げる判断、帰宅・出社の判断など、様々な判断が求められます。ここは難しいポイントでもあるので、判断をサポートするデジタル技術を活用したツールも紹介したいと思います。

ーーセミナーにはどのような課題感を持っている人に参加してもらいたいですか?

武弓)次のような悩みを持っている企業のご担当者に参加していただければと考えています。

  • 「BCP、防災対策を何から始めたらいいのかわからない」
  • 「全国で風水害の被害が増えているから、何か対策をしないといけない」
  • 「災害が起きた際、迅速かつ的確な判断ができるように準備したい」
  • 「自社のBCP/BCMを風水害にも対応できる内容に再構築したい」

BCP・防災に取り組むみなさまに、少しでも役立つ情報をお伝えできればと考えていますので、お気軽に参加いただければと思います。

無料セミナー

「風水害対策とBCPの重要性 ~出水期を前に知っておくべきこと~」

5月20日(火)15:00~16:00 オンライン開催

※5月28日(水)に録画内容を配信します

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