コラム/トピックス

有報サステナ開示SSBJ基準が確定、GHG排出量の算定期間は決算期と同じに

2025.4.25

有価証券報告書でサステナビリティ情報を開示する際の国内基準(SSBJ基準)が確定した。同基準の開発に当ったサステナビリティ基準委員会(SSBJ)が3月5日公表した。2024年3月に公表した公開草案に寄せられたコメントを検討し、基準を最終化した。公開草案からの代表的な変更点としては、募集したコメントで賛否が分かれていた温室効果ガス(GHG)排出量の算定期間を、国際的なサステナビリティ開示基準(ISSB基準)と同様に、報告する企業の決算期と一致させることで決まった。

基準の確定に当っては、ISSB基準との整合を図ることを基本方針に設定。委員会内での審議の結果、ISSB基準との比較可能性を重視してSSBJ基準固有の規定が削減された。

GHG排出量の算定期間は、その中でも特に注目されていた。当初の公開草案は、地球温暖化対策推進法(温対法)に基づき報告したGHG排出量を開示することを認めていた。しかし、同法が定める対象期間が、企業の会計年度と一致しないケースが議論になっていた。SSBJの説明では、24年3月の公開草案の時点では、開示に伴う企業の負担を抑える点を評価し、温対法のデータの開示を認める意見が委員会内で優勢だった。しかし、公開草案公表後のコメントで、投資家や監査法人などを中心に、算定期間と会計年度がズレることで事業とのつながりなどが希薄になり、情報の有用性が低下することへの懸念の声が多く寄せられた。そこで、SSBJは同年11月、算定期間と会計年度を一致させるよう合理的な調整を求める内容に公開草案を変更し、再度コメントを募集。寄せられたコメントを検討し、変更後の内容で確定した。ISSB基準との整合や読み手にとっての情報の有用性を重視したのが理由。一方で、企業の負担を軽減可能な見積り方法も認めた。

このほか、公開草案では、GHG排出量をスコープ1・2・3の区分に分けた開示とともに、これらの合計値の開示も求めていたが、確定版ではISSB基準との整合などを優先し要求事項から削除した。

SSBJは、同基準を解説したハンドブックを公表する予定。公開草案に寄せられたコメントからニーズのより高いトピックスから順次掲載するという。

SSBJ基準の適用時期は、金融庁金融審議会のWGで、最短で27年3月期からの適用とするスケジュール案が示されている。

【参考情報】
2025年3月5日付 SSBJ HP:https://www.ssb-j.jp/jp/ssbj_standards/2025-0305.html

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