
GPIFが初のサステナ投資方針、全資産で推進、社会・環境インパクトも考慮
2025.5.26
年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は2025年3月31日、サステナビリティ投資の推進に向けた考え方を公表した。同時に、初のサステナビリティ投資方針を公表し、全資産での推進や投資先企業の事業がもたらす社会・環境的効果(インパクト)を投資判断で考慮する可能性を盛り込んだ。
サステナビリティ投資推進の方向性は、2025年から2030年までの中期目標期間に合わせたもの。これまでの実績で、運用収益の確保や投資先企業の行動変容などの効果を認識できたことを理由に挙げた。
初めて策定したサステナビリティ投資方針では、まず、財務的リターンに加えて、ESGや社会・環境的インパクトを考慮すると表明。資本市場への影響が大きい社会・環境リスクの低減が長期での投資リターンを追求するために不可欠との認識を示した。また、全資産でサステナビリティ投資の推進を宣言。投資先企業の事業に関する環境・社会的インパクトの考慮に加えて、投資先企業へのエンゲージメントや議決権行使、サステナビリティ関連リスクの分析などの取り組みやアプローチを駆使する意向を示した。
その他の取り組みでは、ESG指数投資の拡大を挙げた。過去の実績に基づき、ESG指数に組み入れられた銘柄企業とそうでない企業を比較・分析した結果、企業価値指標の差を認識し、ESG投資の効果を確認したことが理由。新規のESG指数を追加選定する。一方で、これまで「リバランス(資産配分の調整)」の対象外だったESG指数投資について、国内・国外の株式も対象に変更する。直近の株価上昇で、ESG指数投資残高の構成割合が上昇したための措置。2024年3月末時点で、9つのESG指数を選定済、運用資産額は合計で約17.8兆円(全体の約14%)だった。
【参考情報】
2025年3月31日付 年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)HP:https://www.gpif.go.jp/esg-stw/policy_sustainability.htmlなど