コラム/トピックス

TISFDの起草体制が始動、世界4地域「カウンシル」メンバーを公表

2025.7.11

不平等・社会関連財務情報開示タスクフォース(TISFD)は2025年5月20日、開示基準の策定に当たって、各国・地域の社会・経済・文化的事情を反映し、より普遍的な内容にするための中心的な役割を担う「カウンシル」のメンバーを公表した。同時に、策定の進捗に応じて段階的に公表される予定のドラフトへの意見や同基準の各地での推進・普及を期待される「アライアンス」メンバーの募集を始めた。体制を整え、基準策定の作業が始動する。

カウンシルは、世界4地域(北・南米、アジア太平洋、欧州・英国、中東・アフリカ)に設置。それぞれ20~30人、計90人弱のメンバーで構成する。日本からは2人が参加している。所属は、金融機関や企業、市民団体、労働組合など。ただし、個人としての参加で、所属組織の利害を代表しない。今年初めから世界で公募していた。今後メンバーが増える可能性もあるという。1年任期で、年4~6回のリモート会議で議論に参加する。

カウンシルのメンバーは、主に次の3つの役割を担う。

①基準のドラフト作成過程で、各国・地域の事情を踏まえたフィードバック
②基準策定に重要な担当国・地域内の特性や事情などを、カウンシル内外で協議・共有
③本基準が対象にする「不平等」や「社会」のテーマについて、投資家を中心に理解増進を図る

一方、アライアンスメンバーの役割は、基準ドラフトへの意見提供のほか、TISFD主催の学習会やウェビナーへの参加やニュースレター購読などを通じて、知見や理解を増やし、同基準の活用推進に貢献すること。組織単位での参加で、組織の種類は問わない。無料・無償で、退会も随時可能。TISFDに対して契約に基づく責務は追わない一方で、TISFDがメンバーに対して何らかのお墨付きを与えるものではないと強調されている。TISFDのHPでメンバー登録を募集中。また、TISFDは2025年内にも、専門家の個人にアライアンスメンバーの門戸を開く考えだ。

TISFDは人権や不平等といった社会的な課題や人的資本などのテーマを対象に、S(社会)領域における国際的な開示基準を開発するのが目的。当初は「不平等」と「社会」が別個の組織で検討されていたが、24年4月に統合して現在の組織となった。同年5月には基本コンセプトが公表され、国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)や欧州サステナビリティ報告基準(ESRS)など既存の開示基準と整合を図る方針を明らかにした。

【参考情報】
2025年5月20日付 TISFD HP:https://www.tisfd.org/news/tisfd-announces-launch-of-regional-councils-to-ensure-global-relevance-and-local-engagement

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