コラム/トピックス

CSR企業ランキングに思うこと

[このコラムを書いたコンサルタント]

専門領域
CSR(企業の社会的責任)/企業の危機管理対策/企業のコンプライアンス対策/個人情報保護対策/国内外のPL法/会社役員賠償責任/その他法務リスク全般
役職名
法務・環境部 上席コンサルタント
執筆者名
奥村 武司 Takeshi Okumura

2008.4.1

企業の社会的責任(CSR)という言葉が広く認知されるようになり、大企業においてCSRへの取組みが決して特別なことではない状況になりつつある。

そもそもCSRは企業自らが永続的な発展のために自発的に取り組んでいくものであり、何に対してどのように取り組んでいくか、それをどのように開示するのかは各企業が自身で判断するべきである。この判断の前提として、ステークホルダー(利害関係者)の意見に配慮することは重要であり、そのためには自ら情報を発信するとともに、各ステークホルダーからアクセスされやすく、正当に評価されるような配慮が求められる。
しかし、実態として多くの企業は、ステークホルダーとのコミュニケーションに苦労している。

最近では、新聞・雑誌等でCSRをテーマにした記事を目にする機会も格段に増えており、特に独自の指標により企業のCSRについて評価し、ランキングにしたものをが目立っている。例を挙げると、日本経済新聞(2005年1月17日)の「企業の社会的責任調査」、ニューズウィーク日本版(2005年6月15日号)の「世界企業ランキング」、日経ビジネス(2005年8月22日号)の「CSRベスト100社」などがある。
これらのランキングは多くの読者の興味を引き、企業イメージの形成に一定の影響を与えている。

一方、企業の側では、マスコミのCSRランキングについて、評価方法・項目の妥当性、評価結果の表示方法などの観点から疑問視する声も少なくない。

しかし、ステークホルダーの中でも特にマスコミや外部評価機関は、彼ら自身が他のステークホルダー(お客さま、取引先、株主、従業員など)に自らの評価を伝達するという立場にあるため、あらゆるステークホルダーとのコミュニケーションを促進するという点で軽視できないものである。

今、企業が肝に銘じなければいけないのは、ランキングに一喜一憂することなく、外部の評価を「弱み」のあぶり出しに活用し、自らのCSRの「ビジョン」を確立するよう前に進むことである。
もし迷いが生じたなら、「誰に強制されたわけでもなく、自らが自発的に取り組む」というCSRの本質に立ち戻り、自社の信条に照らして、CSRへの取組みを見直していくことが肝要であろう。

以上

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