安全文化診断
2024.4.1
コンサルティングの概要
しっかりと安全管理のしくみが構築され、日々安全活動に取り組んでいるのに、事故が減らない・なくならない、という悩みを数多く耳にしています。そういった場合に、安全管理のしくみを下支えし活性化する安全文化を醸成するアプローチが有効と考えられます。
安全文化の醸成度と事故発生の間には、相関関係があることが安全文化の醸成についての調査研究から判明しています。つまり、安全文化の醸成されていない組織では事故が発生しやすい傾向にあり、逆に安全文化の醸成されている組織では事故発生率が低くなっていることが研究により確かめられています。
コンサルティングの詳細
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安全文化の醸成度を見える化する-安全文化診断とは?-
安全文化診断は、慶應義塾大学大学院・高野研一教授の監修のもとで構築されました。本診断では、従業員の皆様に、80問の設問にweb上で答えていただき(匿名、部署等の情報のみ取得)、回答の傾向を分析するものです。設問は80問あり、選択肢は全て「非常によく当てはまる」~「全く当てはまらない」の5段階で構成されています。所要時間は15分程度です。
安全文化診断は、「安全文化の8軸」の考え方に基づいて構築されています。安全文化に関して様々な研究が過去になされてきましたが、「安全文化の8軸」は、それらの研究成果や、各国の安全文化ガイドライン等を統合して作成されました。従って、安全文化を考える上で重要な様々な側面を、網羅的に取り入れた診断となっています。その結果を整表化することによって、問題点が視覚的に浮き彫りになってきます。(※全従業員にweb環境がない場合は紙での実施となりますので、ご相談ください。)【診断結果例1】
上図は設問と拠点ごとのスコアを整表化したものです。(青=高スコア、赤=低スコア)
- ①の青タテ枠の拠点は総じて各設問が高スコアであるため、当該拠点の要因を分析し好取組のヨコ展開を図っていく、という方策が考えられます。
- ②の赤タテ枠の拠点は総じて各設問が低スコアであるため、当該拠点の要因をさらに深掘り分析し拠点対策を図っていく、という方策が考えられます。
- ③の赤ヨコ枠は当該設問項目が全般的に低スコアであるため、全社統一オペレーションとしての対策を図っていく、という方策が考えられます。
【診断結果例2】
上図は安全文化の8軸と勤続年数ごとのスコアを統計処理し整表化したものです。(青=高スコア、赤=低スコア)青タテ枠の勤続年数5年未満の若手層で高スコア項目が多く、同層の要因を分析し好取組のヨコ展開を図っていく、という方策が考えられます。
赤タテ枠の勤続年数が5年以上15年未満の中間層においては低スコア項目が多く、同層の要因をさらに深掘り分析し勤続年数別対策を図っていく、という方策が考えられます。前記Sampleは「安全文化の8軸」と各設問・年代別の整表ですが、役職や年齢においても同様に属性間の傾向を分析することが可能です。各属性の安全文化の醸成度が色付けやスコアで見える化されて把握できるので、長所や優先的に対処すべき短所(課題)を明確にすることができます。
Cからはじめてみる―現状把握・分析から結果検証のサイクルへ―
安全に限らず、取組みは効果検証を取り入れてこそ改善が望めます。
初回の安全文化診断で現状を把握・分析し、1年間の安全管理取り組みを経て、2回目の安全文化診断で取り組みの効果検証を行うという、いわば「Cからはじめる」PDCAサイクルにのせ、取り組みをシステマティックにスパイラルアップさせていく、という方法を取り入れることをおすすめしています。安全文化診断結果を受けて―ソリューションメニュー―
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上図は、安全文化診断の結果を受けて、貴社の事業所にお伺いし、労働安全衛生に関する活動状況や、労働災害の発生状況を確認したうえで、貴社の労働安全衛生に必要な対策を診断書として提供する労災リスクサーベイや、課題対策としての各種ソリューションメニューの一部を掲示したものです。このように、安全文化診断後に貴組織に適したメニューの検討・協議・ご提案へと展開していきます。
また、事業所内から選定した一つの職場を対象として巡回して「リスクアセスメントの実施・ 活用状況」や「安全活動の実施体制」などの観点から課題を抽出し改善する「安全モデル職場活動」、従業員が普段の安全意識や安全行動を見直しして課題を見つけ、課題を解決するための安全行動目標を立てる「安全行動目標の実践」研修を提供しています。
安全文化の8軸とは?
安全文化の8つの軸とは①組織統率、②責任関与、③相互理解、④危険認知、⑤学習伝承、⑥作業管理、⑦資源管理、⑧動機付けの8軸です。
安全文化診断では組織の文化を8要素に分けて見える化します。文化が個人の行動に影響する?
個人の行動が所属する組織文化に影響を受けると聞いて、本当にそんなことがあるのかと疑問に思われた方もいらっしゃるかもしれません。しかし、知らず知らずのうちに、組織の文化によって行動が影響を受けることは珍しいことではありません。
日本では「言霊」信仰が個人の行動に無意識のうちに影響を与えています。言霊信仰とは、「良い言葉は良い結果につながり、悪い言葉は悪い結果につながる」という考え方です。例えば受験生のいる家庭では、「滑る」「落ちる」といった言葉は避けられているのではないでしょうか。また、結婚式でも「切れる」といった言葉は避けられる傾向にあります。このように、普段は「言霊」信仰についてほとんど意識することはありませんが、無意識に近いレベルで日本人の思考に影響を与えています。
これを労働安全衛生におきかえますと、従業員の死亡や火災・爆発事故などの悪い出来事を言葉にすると「言霊」によって現実化してしまうと無意識のうちに考えてしまうことにもなり、意識下で危険感受性を鈍らせてしまう傾向も残念ながら少なくありません。
このようにリスク管理の領域においては、日本の文化である言霊信仰がマイナスの影響を与えている可能性があります。日本社会では、言霊の影響で「悪いことをあえて想起しない」とする深層心理状態に日本人はなりやすいという点を踏まえて安全文化を醸成していく必要もあるかもしれません。
安全も組織文化の影響を受けている
労働安全の分野では、早くから「安全文化」という言葉が使われてきました。世界で最初に安全文化(Safety culture)の必要性に言及されたのは、1986年のチェルノブイリ原子力発電所事故の事故報告書の中であり、事故の最終的な原因が「安全文化の欠如」と指摘されました。チェルノブイリ原子力発電所の事故報告書において、安全文化は「現場の安全問題がその重要性にふさわしい配慮を最優先で受けられるようにする、組織と個人の特徴や組み合わせである」と定義されています。
事故から考える安全文化8軸の事故原因
事故原因の調査では、「安全最優先の風土が構築されていない」ことが事故原因として挙げられている場合が多くあります。安全文化の8軸の考え方に沿って、どのような安全文化醸成活動が有効か検討することが重要になります。
皆様の会社の安全文化を診断してみませんか
当社では、電力、化学、製造、建設業など、様々な業種における安全文化診断の豊富な実績があり、分析結果から具体的な醸成取組までコンサルティングを行うことができます。
ぜひ、安全文化診断を貴社の活動にご活用ください。