レポート/資料

雷害の増加要因と対策について【災害リスク情報 第73号】

2017.1.1

はじめに

雷による被害(雷害)は、落雷による建物の損壊や人的被害のみならず多くの設備の故障を引き起こしている。近年、増加傾向にある雷害は落雷や雷雲の接近によって二次的に発生する誘導雷や逆流雷による被害であり、社会的に電気電子機器が広く行き渡る傾向のなかで、これらの機器が誘導雷による異常な過電圧(雷サージ)に対して耐性が低いことが被害件数の増加につながっている。さらに、いわゆる異常気象や郊外型施設の増加、高層建築物の増加などが雷害件数の増加に少なからず影響を与えていると考えられる。

雷害の状況について調査を行うと、防災設備や警備用設備など、同種の電気電子機器が多く被害にあっている現状がみてとれる。一方で、同じような立地条件にも関わらず施設によっては被害が発生していないケースも見られる。誘導雷などによる被害に対しては、事前に被害を軽減するための対策を行っているかどうかによって差が生じており、事業者は雷害防止のための対策を事前に認知し、実行しておくことが必要である。

今後、情報通信技術( ICT)の発展に伴って、 ICT関連機器が我々の日常生活や事業活動にこれまで以上に深くかかわりあい重要な役割を担うことが想定される。これらの機器が雷サージなどによるノイズの影響を受けることが懸念されており、対策の重要性は増してくる。

本レポートでは、雷害による事故の増加傾向について考察し、事故事例とその対策事例を示す。また、今後の ICTの広がりと雷害リスクについて考察する。

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