
第55号「ホテル・旅館等に係る表示制度の実施と違反対象物に係る公表制度の実施について」
2014.3.1
はじめに
2012年5月13日に広島県福山市で発生、7名が犠牲となったホテル火災を契機に、消防庁において有識者で構成された「ホテル火災対策検討部会」が設置された。その中間報告にもとづき、ホテル・旅館等が今後検討すべき防火対策について災害リスク情報<第49号>(2013年5月1日発行)で考察したが、その後消防庁より、広島県福山市ホテル火災の原因調査結果、「ホテル火災対策検討部会報告書」、ホテル・旅館等に係るフォローアップ調査(第2回)の結果が相次いで公表され、これらをもとに「防火対象物に係る表示制度の実施について(通知)(2013年10月31日)」、および「違反対象物に係る公表制度の実施について(通知)(2013年12月19日)」が発出された。
本稿ではこれらの概要を紹介し、ホテル・旅館等の防火対策についてまとめる。
1.「ホテル火災対策検討部会報告書」と調査結果
ホテル火災対策検討部会では、福山市ホテル火災の原因調査や緊急調査などの結果から火災予防上の課題をまとめている。その概要は以下のとおりである。
(1) 火災対象建物の状況
- ア 建築基準法の建築構造、防火区画および階段の規定に適合していないにも関わらず、既存不適格として扱われ、継続使用が可能であった。
- イ 過去の立入検査において不備事項を再三指摘していたにも関わらず、「適」マーク制度(以降"旧「適」マーク"とする)廃止以降、火災に至るまで9年間立入検査が行われていなかった。
レポートを全て見る