レポート/資料

第54号「製造事業所におけるリスクアセスメントの重要性とメンテナンス工事の安全管理について」

2014.2.1

はじめに

近年、化学工場において重大な火災・爆発事故の発生が頻発し、社会の大きな関心事となっている。総務省消防庁のデータでは、石油コンビナート等特別防災区域内の特定事業所において発生した事故件数が平成5年以降増加傾向に転じ、近年は高止まり状態となっていることがわかる。記憶に新しいところでは、本年1月に化学工場にて多数の死傷者を伴う爆発事故が発生している。(図1)

本稿では、1月の化学工場の事故について報道等から得られている情報を基に、事故に至った要因などを考察するとともに、頻発する製造事業所での大規模な火災・爆発事故を踏まえ、事業所におけるリスクアセスメントの重要性と、メンテナンス工事における安全管理のポイントについて概説する。

1. 2014年1月に発生した化学工場での事故概要

2014年1月9日(木)14時頃、三重県四日市市に所在する化学メーカーの多結晶シリコン製造プラントにおいて爆発事故が発生し、5名が死亡(当該事業所従業員3名、協力会社従業員2名)、12名が負傷(当該事業所従業員10名、協力会社従業員2名)するという大変痛ましい結果となった。

以下に各種報道機関から報じられた情報を収集し、事故の概要をまとめた。

(1) 事故発生設備

排ガス冷却用熱交換器(長さ:6m、直径:約1m、重量:約5t)

(2) 現場状況

熱交換器のチャンネルカバー(重量:約300kg)が10m程度吹き飛んでおり、死亡した5名はチャンネルカバー周辺で作業していたものと考えられる。

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