レポート/資料

第44号「粉塵爆発の危険性と事故防止対策」

2012.8.1

はじめに

日頃、火災や爆発事故に関するニュースが報じられるたびに、その凄まじさや恐ろしさが伝えられる。これらの火災や爆発のほとんどは可燃性ガスや引火性液体に起因するものであるが、粉塵による爆発事故も毎年のように発生している。

粉塵爆発は、可燃性ガスや引火性液体の爆発と比較すると頻度は少なくなるが、古くから繰り返し発生している典型的な爆発事故現象の一つである。時には、多数の死傷者や数十億円にも上る物的損害や利益損害を生じる重大な事故になることもある。また、近年の事故事例を分析すると、社会の変化とともに新たな要因による事故の発生が浮かび上がってくる。

そこで、本レポートでは、粉塵爆発のメカニズムを説明し、過去に発表されている事故データや報告等から見えてくる、粉塵爆発事故の特徴や問題点を解説する。最後に、粉塵爆発の事故防止対策を考える上でのポイントを紹介する。

1.粉塵爆発のメカニズム

粉塵爆発は、粉塵粒子と空気の混合状態(粉塵雲)が形成され、それに着火することにより発生する爆発現象である。爆発が発生するためには、主に以下の5つの要素が必要条件となる。なお、この5つの要素をOSHA(OccupationalSafetyandHealthAdministration:アメリカ労働安全衛生管理局)では、DustFireandExplosionPentagon(粉塵火災・爆発の五角形)と言う。

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