レポート/資料

<号外>「タイの洪水災害について」

2011.10.1

はじめに

7月以降タイをはじめとして、ベトナム、カンボジア、フィリピン、ラオスなどで台風、熱帯低気圧による豪雨が続き各地で洪水被害が発生している。

特にタイでは9月半ばから北部の主要なダムが許容貯水量を越え、放水を余儀なくされたため下流域で河川の決壊が相次ぎ、大規模な洪水が発生した。今回の被害は過去50年間で昀悪といわれる甚大なものとなり、引き続き予断を許さない状況である。

きわめて深刻なのは日系企業の多くが進出する工業団地での浸水被害である。バンコク北部に位置するアユタヤ県サハラタナナコン工業団地の浸水を皮切りに相次いで工業団地への浸水が発生、多くの企業が操業停止に追い込まれている。

また、直接浸水の被害を受けていない工場においても部品供給の停止や輸送網の寸断により操業停止を余儀なくされており、多くの企業がタイ国内にとどまらずアジア全域を対象にしたサプライチェーンの緊急見直しの事態に迫られている。

タイ政府水害・風土・土砂災害特別対策センターの10月17日現在の情報によると、77県のうち27県が洪水被害を受けており、779,522世帯、約232万人に影響が及んでいる。また死者307名、行方不明3名となっており、ここ10年では昀大といわれていた昨年8月から11月にかけての熱帯低気圧による豪雨災害をしのぐ規模になっている。

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