
PLレポート 製品安全 2013年度 No.9
2013.12.1
国内のPL関連情報
■後を絶たぬ家電火災リコール対象外でも関心払って
(2013年10月3日 東京新聞)
家庭電化製品の火災事故が後を絶たない。消費者は通常の使用で製品から出火するとは思っていないため、製品を運転したままその場を離れている時に出火し、火災の被害が拡大する例もある。
昨年発生したビルトイン式食器洗い乾燥機の事故では、家人が一階で当該製品を乾燥運転させたまま二階で就寝中に火災が発生し、人的被害はなかったものの家屋に大きな被害が生じた。当該製品と同じモーターを使用した他の製品はリコールを行っているが、この製品は構造が異なるためリコールの対象とはなっていなかった。製造元は、製品からの出火であることは認めたものの、事故原因は調査中という。
食器洗い乾燥機や乾燥機能付き洗濯機は、乾燥運転のまま使用者が外出したり就寝してまったり、さらに深夜の安い電気料金を利用するためにこれらの製品を就寝中の夜間に使うことも考えられる。このため、製品の出火初期の段階で対応ができず、被害が拡大する可能性が高いという。
■ブラインドひも事故多発都が安全対策を協議
(2013年10月30日 静岡新聞)
東京都は10月22日に「平成25年度第1回東京都商品等安全対策協議会」を開催した。カーテンの留めひもやブラインドのひもによる子どもの事故が相次いでいることを受けて、これらの製品の安全対策の検討がテーマとして掲げられた。
本協議会で発表された未就学(同居の小学生を含む)の子どもを持つ成人男女3000人(都内・神奈川県・千葉県・埼玉県に居住)に対し、本年8月~9月に東京都の実施した「ヒヤリハットに関するアンケート」結果によると、ブラインドやロールスクリーンの輪の状態になったひも、カーテンのタッセル(カーテンの止めひも)で危険を感じたという回答が191件あった。 今後、カーテンの留めひもやブラインドのひもの事故の再現試験の検討やこれらの安全対策の検討を行い、都の対応を決定する。
■旅館・ホテル・百貨店の提供する料理等のメニュー表示について
(2013年11月08日 消費者庁ホームページ)
現在、旅館・ホテル等、百貨店が提供する料理等のメニュー表示に関して、実際使われていた食材と異なる表示が行われていたことが大きな問題となっている。これを受け、消費者庁は、景品表示法(不当景品類及び不当表示防止法)の不当表示の考え方及びメニュー表示等の食品表示に係るこれまでの違反事例(考え方及び事例集)を取りまとめて公表した。また、関係団体に対して、傘下の事業者に不当表示の考え方及び事例集を周知させること等を要請した。
ここがポイント
外食産業のメニュー表示に関しては、以下の通り法令に基づく定めがあります。
- 景品表示法(優良誤認表示等の禁止)
- 不正競争防止法(誤認惹起行為等の禁止)
- 米トレサビリティ法(米飯類の原料米の産地表示の義務付け)
- 牛トレサビリティ法(国産牛肉の個体識別番号等の表示の義務付け、ただし、売上比率等に応じた特定料理提供者のみ対象)
海外のPL関連情報
■米連邦控訴裁が、ジャッキリフトの欠陥をめぐるPL訴訟で被告勝訴の略式判決を覆す
米国の第7巡回区連邦控訴裁判所で、本年9月、自動車整備工場のジャッキアップ作業中の事故により受傷したメカニックが、ジャッキリフト製造業者を製品欠陥、指示警告欠陥により訴えていた訴訟の控訴審において、「本件については事実問題に争いがあり、ジャッキリフトに設計欠陥がある可能性もある。このため、設計欠陥の有無について、陪審員による事実審理を含めた判断が必要」とし、原審における裁判官のみによる略式判決※1を覆し、審理のやり直しを命じた※2。
- ※1 米国訴訟においては、事実審理は基本的に陪審員が行い、裁判官は法の適用のみを判断するが、略式判決では、陪審員による事実審理を経ずに、裁判官のみにより判決が下される。
- ※2 判決文
http://media.ca7.uscourts.gov/cgi-bin/rssExec.pl?Submit=Display&Path=Y2013/D09-06/C:12-3 024:J:Tinder:aut:T:fnOp:N:1199074:S:0
■CPSCが自主リコールに関するルールについてコメントを公表
CPSC(米国消費者製品安全委員会)は、本年11月15日、公式コメントを公表し※、CPSCで検討中の自主リコールに関するルールについて、CPSCとしての原案を連邦官報に掲載し広く関係者の意見を募ること、また、原案には自主リコールに関するCPSCの権限強化策が盛り込まれることを明らかにした。
Joint Statement of Chairman Tenenbaum, Commissioner Adler and Commissioner Robinson on the Notice
of Proposed Rulemaking Regarding Voluntary Recall Notices and Corrective Action Plans
http://www.cpsc.gov/en/About-CPSC/Commissioners/Robert-Adler/Commissioner-Adler-Statements/
Joint-Statement-Voluntary-Recall-Notices-and-Corrective-Action-Plans/
ここがポイント
CPSCが、従来の強制リコールの表示ガイドラインに加えて、自主リコールに関する表示ガイドラインを検討中であることについては、本誌2013年No.6「CPSCが自主リコールの表示ガイドライン策定に向け検討」で取り上げたとおりです。
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