
PLレポート 製品安全【2012年度 No.2】
2012.5.1
国内のPL関連情報
■高齢者の長年愛用製品でヒヤリ・ハット
(2012年3月21日 産経ニュース)
東京都生活文化局は、都内に居住する60歳以上の男女3,000人を対象に、過去5年以内に経験したヒヤリ・ハットや危害体験の情報を収集・分析した結果を調査報告書にまとめるとともに、結果を踏まえ高齢者に注意を促すためのパンフレット「シニア世代の身の回りの事故防止ガイド」を作成した。
報告書は、収集した約6,300件のヒヤリ・ハットや危害体験の情報を場面別に分類した「基本調査編」と使用期間が10年以上の家財に限定し、製品別に分類した「詳細調査編」の二部構成。報告書によると、調査対象の約46%が実際に危害を被った経験があり、また約20%がヒヤリ・ハットを体験していることが判明。場面別では「台所」と「屋外・ベランダ」、製品別では「ドライヤーや扇風機等の電気製品」「椅子や座椅子等の家具」および「ガスコンロ」の事例が上位を占めている。
■経産など3省、有機顔料中の副生PCB問題で合同検討会
(2012年3月22日 化学工業日報 他)
経済産業省、厚生労働省、環境省は三省合同の検討会を立ち上げ、一部の有機顔料に非意図的に生成するポリ塩化ビフェニル(PCB)のリスク評価に着手する。2011年1月に、国際団体のETAD(染料・有機顔料製造者生態学毒性学協会)がある種の顔料に微量PCBが生成される可能性を指摘したポジションペーパーを発表し、国内の事業者団体である化成品工業協会(化成協)が、加盟企業(有機顔料の製造・輸入事業者)に分析調査を依頼、本年2月、化成協から経済産業省への調査結果の報告が行われたことを受けた対応である。
新たに設置された検討会は、関係事業者からの報告に基づき、企業に対する実態調査・人の健康等のリスク評価を踏まえ、専門家の意見も入れながら結果をまとめる。これと並行して、生成されるPCBの許容上限値の設定や追加の措置も検討する。なお、顔料含有のPCB被害は報告されていない。
■食中毒事故が多発衛生管理徹底を
(2012年3月29日 毎日新聞島根地方版)
島根県内で、今年に入り食中毒が多発している。3ヶ月で平年の年間発生数の10件に並び、最近では910人が食中毒を起こした2006年に次ぐペースとなっており、県は調理者の手洗いや衛生状態確保の徹底を呼びかけている。
ここがポイント
一般的に12月から翌年3月まではノロウイルス等によるウイルス性食中毒が多く、4月からは一転して細菌性食中毒が増加し、8月にピークを迎えます。食中毒により人に危害を及ぼすウイルスや細菌が食品に混入する経路は、原料由来、環境由来、作業者由来の3つに大別されます。
農水産物には何らかの微生物が付着している可能性があり、例えば二枚貝にはノロウイルス、肉や野菜、穀物にはそれぞれカンピロバクターや大腸菌、ボツリヌス菌などの細菌が付着している場合があります。
海外のPL関連情報
■欧州委員会が消費者用製品リコール等に関する手引書を公表
欧州委員会(EC)は、2012年3月、製造事業者や流通事業者に対し、市場の不安全製品のリコールを含む是正措置に関するアドバイスを提供する手引書(CorrectiveActionGuide※)を公表した。本手引書は、主として、欧州委員会(EU)加盟各国の市場監視機関のクロスボーダーでの監視等を目的とした集まりであるPROSAFEにより作成され、製品供給者(製造事業者および流通事業者)が不安全製品が市場にあることを認識した場合に取るべき措置の手順等を解説している。本手引書は、食品、医薬品、医療機器を除くすべての消費者用製品に適用される。
http://ec.europa.eu/consumers/safety/rapex/docs/corrective_action_guide_march2012.pdf
ここがポイント
今回の手引書は、ECが2004年に公表した「リコールを含む是正措置の手引書(A Guide tocorrective action including recalls)の改定版であり、加盟各国による危険製品に関する通知手続きおよびリスクアセスメントの方法に関する2010年の委員会決定(Commission Decision2010/15/EU)の内容が反映されています。
■米国における電気製品による火災の原因調査
米国の消費者向け製品のテスト機関である消費者連盟(Consumer Union)は、2012年2月、その機関誌であるConsumer Reports誌において、米国内で発生した電気製品が関係した火災についての分析調査結果を発表した。これによると、火災のうち誤使用や誤操作などの人為的な要因によるものは半分程度であり、残り半分のかなりの部分が機器それ自体の問題により引き起こされた可能性がある。
ここがポイント
今回のConsumer Reportによる調査は、連邦緊急事態管理庁(FEMA)が管理する全国火災発生報告システムから得られる最新の過去データ(2002年から2009年まで)および製品安全委員会(CPSC)からの火災に関する報告、訴訟記録その他の記録およびCPSCが運営する公開事故情報データベースから得られる情報を分析したものである。
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