レポート/資料

PLレポート 製品安全 2011年度 No.2

2011.7.1

国内のPL関連情報

■ベビーカーの耐用年数に注意

(2011年4月13日 東京読売新聞)

ベビーカーの製造者で構成する「ベビーカー連絡協議会」は、ベビーカーを長期間使うと部品強度が落ちて事故の危険性が高まるなどとして、使用者に注意を喚起すると共に、注意を周知徹底するための「ちらし」を作成・発行した。「ちらし」は"ベビーカーには寿命があります!"のタイトルで、商品に添付されたり店頭で配布されるほか、同協議会や全国ベビー&シルバー用品連合会のホームページでも公開されている。

ベビーカーは第一子の誕生時に購入され、第二子以降にも続けて使用されたり、購入した家庭で不要になると人に譲って使い続けられる例が多い。「ちらし」では"寿命はメーカーや機種に加えて使用状況や保管状態により異なりますが、新機購入時から使用対象月齢期間までが目安です"とし、"部品の亀裂やガタツキが大きくなった等の異常を感じたら、早めに製造者や輸入元に問い合わせましょう"と使用者に注意を呼びかけている。なお、使用対象月齢は最長で生後48ヶ月までとされている。

■酸素装置引火による事故に注意

(2011年5月13日 共同通信社)

病院外で肺の疾患に使用される「酸素濃縮装置」により発生する濃縮酸素への引火による火災事故が本年に入って2件発生し患者が死亡したことが5月12日、日本産業・医療ガス協会の集計で分かった。本装置は周囲の空気を圧縮して酸素を管で患者に送る仕組み。

日本産業・医療ガス協会と厚生労働省はタバコやストーブなどの火気による引火に注意を呼びかけている。厚生労働省の発表によると、重篤な健康被害事例として平成15年12月から平成23年1月までの86ヶ月で34件の火災事故があり、33人が死亡している。

ここがポイント

酸素濃縮装置、液化酸素及び酸素ボンベ(以下「酸素濃縮装置等」という。)は肺機能が低下し酸素が十分に肺で取り入れることができなくなった患者に対し、高濃度の酸素を肺に送り込み酸素を体内に取り入れやすくした生命を維持する医療機器で、装置本体から高濃度酸素を一定の長さの酸素供給パイプによって患者に供給する構造となっています。

■電気製品の安全基準の簡素化を経産省が検討

(2011年5月24日 日本経済新聞)

経済産業省は5月31日に行われた産業構造審議会で電気用品安全法の安全基準を簡素化する方針を確認した。2013年をめどに同法の政省令を改正する。

現在の電気用品安全法の安全基準は、各種電気製品454品目を対象に、仕様や材料を細かく定めているが、これを10分類ほどに集約し、最低限満たさなければならない性能だけを規定する。

世界標準に整合した安全基準へと改正することで企業の製品開発の自由度を高くし、独創的な商品の開発を後押しすることができる一方、企業が自ら判断する安全確保の範囲は広くなり、企業の実務上の負担は重くなることになる。

経済産業省は、ライターなどを規制する「消費生活用製品安全法」、ガスコンロなどを対象にした「ガス事業法」、ふろがまなどの「液化石油ガス保安の確保及び取引の適正化に関する法律」の三法も同様の観点から見直す方針である。

海外のPL関連情報

■CPSCが玩具の安全規制の国際調和に関するレポートを公表

5月6日、米消費者製品安全委員会(CPSC)は、玩具の安全規制の国際調和を達成するための計画に関するレポート(ロードマップ文書)を公表した。

今回のレポートは、CPSCの2010年度事業計画において、玩具に関する規制の将来的な調和のための方策やその中でのCPSCの役割、他の製品分野への適用の可能性等について、計画を策定することを求められたことに対応したものであり、レポートの中でCPSCは、規制の国際調和を図るための取組方針として以下の5つを示している。

  • CPSC独自の基準を他の国や地域の基準への整合させることを含め、玩具の安全の改善に関して、すべてのステークホルダーからの意見を詳細に調査・検討すること
  • 米国国民が受益する限り、玩具の安全に関して他国の規制機関と協調すること
  • 将来の玩具の安全性を含め、最新の消費者製品の安全性問題に関して各国の規制当局が論議するための年次国際会議の開催を促進すること
■米連邦最高裁で後発医薬品の警告欠陥訴訟が結審

米連邦最高裁判所において争われていた食道障害薬「Reglan」の後発医薬品の警告欠陥に関わる製造物責任訴訟が6月23日結審し、後発医薬品のラベルに副作用の警告がなかったにもかかわらず、請求棄却の判断が示された。

「Reglan」には不随意運動を引き起こす神経障害の副作用が確認されていたが、後発医薬品のラベルにその警告が無かったことから、その服用により神経障害を含む深刻な副作用が生じたとして、被害者である原告が警告欠陥に基づき後発医薬品会社を訴え、第一審において州法に基づき警告欠陥が認められた。

控訴審においても原告の主張が認められ、製造会社の賠償責任が肯定されたが、「後発医薬品の警告ラベルは特許のきれた先発医薬品(以下「原医薬品」)と同一でなければならない」という食品医薬品局(FDA)から求められる連邦法上の義務※1があり、後発医薬品の製造当時、原医薬品のラベルには当該副作用についての警告がなかったことから、被告である後発医薬品会社は「州法上の義務(副作用の警告義務)と連邦法上の義務(原医薬品と警告ラベルを同一にすること)を同時に果たすことは不可能」として、連邦法と州法に矛盾が生じる場合は、連邦法が優先適用されるとの法理("Federal preemption"、専占の法理※2)の適用を求めて、連邦最高裁判所へ上訴していた。

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